頭痛が起こる「タイミング」から推察される原因
頭痛が起こる「タイミング」から原因を考える(この記事の要点)
下高井戸脳神経外科クリニックの外来では、「どんな痛みなのか」「どのくらいの頻度で頭痛が起こるのか」だけではなく、「いつ頭痛が起こるのか(タイミング)」を重要な診断の手がかりと考えて診察しています。
頭痛には、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などの一次性頭痛と、脳血管障害や脳腫瘍などが原因となる二次性頭痛があります。
頭痛が起こる時間帯や曜日の特徴には、この2つを見分けるうえで重要な情報が内包されている場合があります。
たとえば、
起床時・早朝/午後〜夕方/週末・休日/月曜日の朝/夜間(睡眠中)
といったタイミングには、それぞれ起こりやすい頭痛のタイプがあり、原因を絞り込むヒントが隠れています。
この記事でわかること
- 頭痛が起こる「時間帯・曜日」ごとの代表的な原因
- ICHD-3(国際頭痛分類)に基づいた頭痛の考え方
- 様子を見てよい頭痛と、早めに受診すべき頭痛の違い
- MRIで確認すべき頭痛の原因となる器質的疾患
診察では、詳細な問診と神経学的診察を行い、必要に応じてMRI検査で脳血管障害や脳腫瘍などの危険な原因を除外したうえで、患者さん一人ひとりに合った頭痛治療を提案しています。
「この頭痛は様子を見てよいのか」「MRIで一度調べた方がよいのか」
その判断に迷われている方に向けて、本記事では“頭痛が起こるタイミング”という視点から、わかりやすく解説します。
目次
- はじめに
- まず最初に:危険な頭痛(レッドフラッグ)
- ① 起床時・早朝に起こる頭痛
- ② 午後〜夕方に強くなる頭痛
- ③ 週末・休日に起こる頭痛
- ④ 月曜日の朝に起こる頭痛
- ⑤ 夜中・決まった時間に起こる頭痛
- まとめ

—一次性頭痛(頭痛そのものが治療対象)と二次性頭痛(器質的疾患が原因の頭痛)を見分けるコツ—
下高井戸脳神経外科クリニックの頭痛外来では「どんな痛みか」「どのくらいの頻度で痛むのか」と同時に、“いつ痛むか(タイミング)”をお伺いしています。
起床時・早朝/午後〜夕方/週末/月曜/夜間(睡眠中) 、それぞれの時間帯に起こりやすいタイプの頭痛があり、そこに原因絞り込みのヒントがあります。
下高井戸脳神経外科クリニックでは、詳細な問診と神経学的診察に加えて、MRIで脳血管障害や脳腫瘍等の頭痛の危険な原因を除外し、おひとりおひとりに合ったテイラーメードの頭痛治療を目指しています。
今回の記事ではICHD-3(International Classification of Headache Disorders(国際頭痛分類)の第3版)という、「この頭痛は片頭痛」「これは群発頭痛」というように、症状の組み合わせで頭痛を診断できるようにした分類法と頭痛が起こるタイミングの切り口から頭痛をまとめて行きます。
まず最初に:危険な頭痛(レッドフラッグ)を見落とさない
次のような症状がある場合には脳血管障害等の二次性頭痛を強く疑い、救急対応が必要になることがあります。
- 突然の激しい頭痛(“雷が落ちたような痛み(雷鳴頭痛)”など)
- 発熱、首が硬い、意識がぼんやりする、けいれん等の症状がある
- 麻痺・しびれ・構語障害・視野異常などの神経症状がある
- いつもと違うはじめての頭痛/日ごとに悪化する頭痛/パターンが変化した頭痛
こうした”レッドフラッグ”は二次性頭痛を示唆するために注意が必要です。
① 起床時・早朝に起こる頭痛
朝、起床直後から午前中に強く出るタイプの頭痛です。睡眠および血圧関連の頭痛や、頭蓋内圧(頭の中の圧)の上昇などが関係することがあります。頭蓋内圧亢進の有無を評価するためにはMRIによる画像評価が有用です。
A. 睡眠時無呼吸に関連する「起床時頭痛(睡眠時無呼吸関連頭痛)」
ICHD-3では「睡眠時無呼吸による頭痛」として定義され、治療により改善することが期待される頭痛です。
① 特徴
- 起床時に頭痛がある
- 両側のことが多い
- ズキズキより 圧迫感/締め付け感
- 多くは 4時間以内に軽快
- 吐き気や強い光・音過敏は典型的ではない
② 原因・病態生理
- 夜間の呼吸が浅い/止まることにより、
- ①血液中の酸素が低下し、二酸化炭素が増えることで脳血管が広がること、
- ②睡眠が分断されること、
- などがこの頭痛の原因として想定されています。
- 一方「無呼吸の重症度」と「頭痛の出やすさ」が常に比例するわけではない、という報告もあり、実臨床では他の頭痛(片頭痛・緊張型)との混在に注意が必要です。
③ 診断法
- 重要なのは「起床時頭痛のパターン」+「睡眠時無呼吸の存在」の確認
- 睡眠時無呼吸の確定には睡眠検査(PSGなど)が必要になります。(下高井戸脳神経外科クリニックでは睡眠検査は行っておりません)
④ 治療法
- CPAP等の睡眠時無呼吸の治療で、頭痛が改善することが診断上も重要です。
- 当院ではCPAP導入は行っておりませんが、疑わしい場合は導入を行っている医療機関へご紹介いたします。
B. 片頭痛(早朝に始まるタイプ)
片頭痛は「朝だけ」に起こるものではありませんが、体内リズムや睡眠の影響で早朝に片頭痛の発作が始まる方がいます。
① 特徴
- 発作は 4〜72時間続く
- 片側のズキズキ(拍動性)が典型(両側の場合もあります)
- 吐き気、光や音がつらい(光過敏・音過敏)
- 動くと悪化しやすいので暗い部屋で横になっていると楽
② 原因・病態生理
- 「血管が広がるから痛い」のみではなく、脳の痛みの回路が過敏になって生じる頭痛です。睡眠不足・疲労・ストレス変化・脱水・空腹などで発作が誘発されることがあります(誘因は個人差が大きく様々な誘因があります)。
③ 診断法
- ICHD-3の特徴(持続時間、拍動性、随伴症状など)に合うかを問診でお伺いし整理します。
- 「いつもと違う」「初めての強い頭痛」「神経症状」などがあればMRIで除外評価を行います。
④ 治療法
- 急性期:アセトアミノフェン、NSAIDs、トリプタン、必要に応じて吐き気止め等を用いて発作時の頭痛と嘔気を抑える治療を行います。
- 予防:発作頻度が高い場合は予防治療(複数選択肢)を検討し、生活誘因も含めて最適化します。おおよそ月に4日以上頭痛がある方、もしくは片頭痛で生活に支障が生じている方には予防治療のご相談をしております。
② 午後〜夕方に強くなる頭痛
「午前は何とかなるが、午後から重くなる」は、実臨床では多いパターンです。
A. 緊張型頭痛(最も多い)
ICHD-3の定義では「両側」「締め付け」「動いても悪化しにくい」「吐き気は基本なし」が診断のポイントになります。
① 特徴
- 両側が痛むことが多い
- 締め付ける/圧迫されるような痛み(ズキズキではない)
- 強さは軽〜中等度が多い
- 歩く・階段など日常動作で悪化しにくい
- 吐き気は基本的にない(あっても軽い)
- 首肩こり、目の疲れがセットのことが多い
② 原因・病態生理
- 長時間の姿勢、目の酷使、精神的緊張、睡眠不足などで首肩〜頭周囲の筋緊張が増し、痛みが出やすくなります。
- 午後に増えるのは、活動量が増えて疲労が蓄積しやすいことが一因です。
③ 診断法
- 痛みの性質(締め付け)、部位(両側)、随伴症状が乏しい点を確認
④ 治療法
- 急性期:アセトアミノフェン、NSAIDs等の鎮痛剤を必要最小限で使用します
- 生活・姿勢:休憩の入れ方、首肩ケア、睡眠、ストレス調整
- 頻回の場合:鎮痛薬の使い方を見直し、予防的アプローチ(生活指導や必要に応じた薬)を検討
(※鎮痛薬の頻回使用は別の頭痛を引き起こすことがある(薬剤乱用性頭痛)ため、回数の確認が重要です)
B. 片頭痛(午後〜夕方に始まるタイプ)
片頭痛は朝に起きるとは限らず、午後〜夕方に発症することもよくあります。
① 特徴
- ズキズキ、吐き気、光や音がつらい
- 動くと悪化
- 発作は 4〜72時間持続する
② 原因・病態生理
- 午後〜夕方は、疲労の蓄積・脱水・空腹・ストレス変動が重なりやすく、誘因が揃いやすい時間帯です。
③ 診断法
- ICHD-3の特徴に沿って問診で整理し、必要に応じて二次性頭痛の除外診断を行います。
④ 治療法
- 急性期:NSAIDs、トリプタン、制吐薬など
- 頻回なら予防薬の使用+誘因管理(睡眠、食事、脱水、過労の調整)
③ 週末・休日に起こる頭痛
「休みの日だけ頭痛」は、生活リズムの変化(寝だめ・食事時間のずれ)と、カフェインの摂り方の変化が大きな鍵になります。
A. カフェイン離脱頭痛
ICHD-3では、”最後のカフェイン摂取から24時間以内に発症すること”が重要ポイントです。
① 特徴
- カフェイン摂取が遅れたり、抜けたりした後に生じる頭痛
- 最後のカフェイン摂取から24時間以内に出やすい
- 片頭痛のように出る人もいれば、鈍い痛みとして出る人もいます
- カフェイン100mgで1時間以内に軽快という所見が参考になることがあります。
② 原因・病態生理
- 毎日一定量以上のカフェインを摂っている際、急なカフェインの摂取中断で起こる可能性がある頭痛です。
③ 診断法
- 週末の「起床時刻」「最初のコーヒーの時刻」「摂取量」のズレと頭痛の関連を確認
- 頭痛日記が最も有用です
④ 治療法
- 予防:週末もコーヒー等でのカフェイン摂取時刻を大きくずらさない、急にゼロにしない
- 急性期:必要に応じて鎮痛薬、片頭痛型なら片頭痛治療に準じて対応します
B. 片頭痛(寝だめ・夜更かし/ストレス解放による)
① 特徴
- 休日の朝〜昼にズキズキ、吐き気、光や音がつらい
- 寝すぎた日、食事が遅れた日に出やすい
② 原因・病態生理
- 平日と休日の睡眠時間の“差”が大きいほど誘発されやすい
- 平日の緊張が解けたタイミングで起こる「ストレス解放」の片頭痛も知られています
③ 診断法
- 頭痛ダイアリーで「睡眠・食事・カフェイン・ストレス」をセットで確認
- 必要に応じて二次性除外
④ 治療法
- 週末も起床時刻を極端にずらさない
- 発作治療の最適化(NSAIDs/トリプタン等)
- 頻回なら予防治療も検討
④ 月曜日の朝に起こる頭痛
月曜は「週末のズレ」+「再始動の緊張」が重なりやすい日です。
A. 緊張型頭痛(再始動ストレス型)
① 特徴
- 朝から重い、締め付ける
- 首の重さや肩こりを自覚する
- 仕事前から始まりやすい
② 原因・病態生理
- 月曜の心理的緊張が、筋緊張と痛みを増やす
- 週末の睡眠リズムの乱れも下地になります
③ 診断法
- 痛みの性質(締め付け)と、ストレス・姿勢・睡眠との相関を確認
④ 治療法
- 急性期:アセトアミノフェン/NSAIDs等を適正使用
- 予防:睡眠・姿勢・休憩・ストレス調整(必要なら予防的治療)
B. 片頭痛(週末のズレ由来が月曜に出る)
① 特徴
- ズキズキ+吐き気、光音過敏
- 月曜の午前に始まりやすい
② 原因・病態生理
- 週末の寝だめ、食事・カフェイン時刻のズレ → 月曜に“しわ寄せ”が出る
③ 診断法
- 週末〜月曜の行動パターンと頭痛の連動を聴取
- 必要に応じて画像評価
④ 治療法
- 週末の生活リズムを平日に寄せる
- 発作治療+必要なら予防治療
⑤ 夜中・決まった時間に起こる頭痛
“睡眠中に頭痛で目が覚める”、このような症状を来しうる代表的な疾患が 群発頭痛(CH) と 睡眠時頭痛(HH) です。
A. 群発頭痛(Cluster headache)
ICHD-3で定義される代表的な「三叉神経・自律神経性頭痛」です。
① 特徴
- 片側の目の奥(眼窩〜こめかみ)の激烈な痛み
- 強さは「耐え難い」「じっとしていられない」ほど
- 発作は 15〜180分(治療しないとき)
- 同じ側に以下の“目・鼻の症状”が出やすい
② 原因・病態生理
体内リズムに関わる中枢(視床下部など)の関与が示唆されています。
③ 診断法
ICHD-3の臨床像で診断します。初発・非典型例ではMRIで二次性除外を行います。
④ 治療法
急性期:高流量酸素吸入、注射や点鼻などのトリプタン。予防:ベラパミル(国内保険適応外)。
B. 睡眠時頭痛(Hypnic Headache)
睡眠時頭痛(Hypnic Headache:HH)は、「目覚まし時計頭痛」とも呼ばれる、比較的まれな一次性頭痛です。名前のとおり、睡眠中にのみ頭痛が起こり、その痛みで毎回目が覚めるという、非常に特徴的な経過をとります。
患者さんからは「毎晩、ほぼ同じ時間に頭痛で目が覚める」「目覚まし時計をかけたように正確な時間に起きてしまう」と表現されることが多く、他の頭痛とは明確に異なる性格を持っています。
症状(どのような頭痛なのか)
睡眠時頭痛の最大の特徴は、頭痛が「睡眠中にのみ」起こる点です。日中や起きている間には頭痛がなく、夜間の睡眠中に限って発作が出現します。
痛みの性質としては、ズキズキする拍動性の痛み、あるいは重く鈍い圧迫感のある痛みのいずれもみられますが、一般に激烈な痛みでのたうち回るような頭痛ではないことが多いとされています。部位は両側性(頭の両側)が多いものの、片側だけに出ることもあり、「必ず両側だからHH」「片側だから違う」と単純には言えません。
発作のタイミングも特徴的で、多くの患者さんでは就寝後2〜3時間後、そして夜間のほぼ決まった時刻に頭痛が起こります。発作の持続時間は15分〜4時間と幅がありますが、平均すると約90分前後続くことが多いと報告されています。発作頻度は月に複数回以上で、月に10回以上、あるいは隔日以上起こるケースもあります。
随伴症状(群発頭痛との違い)
睡眠時頭痛は、しばしば群発頭痛と比較されますが、重要な違いがあります。群発頭痛では、激しい流涙、鼻水や鼻づまり、目の充血、じっとしていられないほどの激痛といった強い自律神経症状が目立ちます。
一方、睡眠時頭痛では、これらの症状はあっても軽度であることが多く、むしろ軽い吐き気、光や音が少し気になる、軽度の鼻水や流涙、まぶたの下がり感(眼瞼下垂)などが付随する程度にとどまることが一般的です。
また、睡眠時頭痛では、痛みが出た際に横になって静かに耐えるよりも、起き上がって過ごす方が多い、という行動面の特徴も知られています。
原因・病態生理(なぜ起こるのか)
睡眠時頭痛は、明らかな基礎疾患によって起こるものではなく、一次性頭痛に分類されます。つまり、脳腫瘍や脳出血が直接の原因ではありません。
ただし、その病態生理には、睡眠と体内時計を司る脳の中枢が深く関与していると考えられています。睡眠時頭痛は特にレム睡眠中に発生することが多いとされ、睡眠段階に伴う脳活動の変化が引き金になっている可能性があります。
さらに注目されているのが視床下部の関与です。視床下部は、睡眠と覚醒のリズム、いわゆる概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する重要な中枢です。睡眠時頭痛が毎晩ほぼ同じ時間に起こるという事実は、体内時計の調節に何らかのズレが生じている可能性を示唆します。
この流れで注目されているのがメラトニンです。メラトニンは夜間に分泌され、睡眠リズムを整えるホルモンですが、睡眠時頭痛ではこの分泌リズムに異常がある可能性が指摘されています。
リスク要因(どんな人に多いのか)
睡眠時頭痛は高齢者に圧倒的に多い頭痛です。報告では、90%以上の患者さんが50歳以降に発症し、平均発症年齢は約62歳とされています。
また、女性は男性に比べて1.5〜2倍程度多いとされ、閉経後の女性で初めて経験するケースも少なくありません。
一方で、この頭痛は稀であるため、発症から診断がつくまでに時間がかかる傾向があり、報告では平均して最初の発症から約7年後に診断されることが多いとされています。これは、まず片頭痛や睡眠時無呼吸症候群など、より一般的な原因を先に考え、除外する必要があるためです。
診断(どうやって診断するのか)
睡眠時頭痛は、血液検査や画像検査だけで確定できるものではありません。詳細な病歴の聞き取りが、最も重要な診断手段です。特に確認すべきポイントは、頭痛が睡眠中にのみ起こるか、毎晩ほぼ同じ時間に目が覚めるか、発症年齢が50歳以上か、持続時間が15分〜4時間か、といった点です。
同時に、危険な二次性頭痛を必ず除外する必要があります。そのため、MRIで脳の構造的異常(腫瘍、出血など)がないことを確認します。
また、睡眠関連の他の疾患、特に睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、ポリソムノグラフィ(PSG)を行って評価することがあります。
治療(何が効くのか)
睡眠時頭痛の治療は、他の頭痛とは少し考え方が異なります。発作を止めるよりも、発作を予防することが重要です。
就寝前のカフェイン
睡眠時頭痛で最も特徴的で、有効性が高いとされているのが、就寝前のカフェイン摂取です。就寝前にコーヒー1杯、あるいはカフェイン錠剤40〜60mgを摂取することで、発作が抑えられることが報告されています。一般には不眠が心配になりますが、「カフェインで眠れなくなる」よりも「頭痛で起こされることを防ぐ」メリットが上回る場合があります。
ただし、鎮痛薬とカフェインを日常的に組み合わせて使用すると、薬剤使用過多による頭痛(MOH)を引き起こす可能性があります。自己判断での多用は避け、医療者と相談して用量・頻度を調整することが大切です。
予防薬(必要に応じて)
カフェインで十分に抑えられない場合や、併存疾患・薬の相性を考慮する必要がある場合には、予防薬を検討します。代表的なものに、炭酸リチウム、インドメタシン、メラトニンがあります。
特にリチウムは、睡眠時頭痛が関与するとされる体内時計(概日リズム)の調節異常に作用し得ること、またメラトニンレベルに影響する可能性があることから有効性が支持されていますが、薬物相互作用や副作用の観点から慎重なモニタリングが必要です。
その他、トピラマートやベラパミルが、他の治療が奏功しない場合に試みられることもあります。
予後・経過(どのくらい続くのか)
睡眠時頭痛は一般に生命を脅かす病気ではありませんが、多くの場合は慢性的に経過し、長期間にわたって続きます。
報告では、約17%の患者さんで自然消失がみられた一方で、多くの患者さんにとっては長期に持続する慢性疾患です。ただし、治療によって約40%の患者さんが症状の改善を経験したという報告もあり、適切な診断と治療により睡眠の質(QOL)を大きく改善できる可能性があります。
注意点(「HHっぽい」からこそ除外が必要)
睡眠時頭痛は稀な疾患です。したがって、夜間の頭痛がある場合には、まずより深刻な病態を除外することが重要です。
特に、頭痛に加えて混乱、視覚の変化、脱力などの神経症状を伴う場合には、睡眠時頭痛ではなく、脳卒中や脳腫瘍など別の疾患を疑い、迅速に医療機関で評価を受けてください。頭痛に睡眠時無呼吸症候群や高血圧などの背景疾患が関与している場合もあります。
睡眠時頭痛のまとめ
「夜中に必ず頭痛で起きる」という症状は、決してよくあるものではありません。だからこそ、正しく知り、正しく診断することが重要です。睡眠時頭痛は、危険な頭痛を除外したうえで初めて「安心できる頭痛」と言えます。
⑥まとめ
頭痛は「どこが痛いか」だけでなく、「いつ痛むか」を知ることが、正しい診断への近道です。
頭痛の診断では、痛む場所(こめかみ・後頭部・目の奥など)に注目されがちですが、 実はそれと同じくらい重要なのが、「どのタイミングで頭痛が起こるのか」という点です。
たとえば、
- 朝起きた直後に強くなる
- 夕方〜夜になると毎日のように出てくる
- 寝ている途中で目が覚めるほど痛む
- 特定の時間帯に繰り返し起こる
こうした“時間帯の特徴”は、 片頭痛・緊張型頭痛といった一次性頭痛だけでなく、 脳梗塞・脳腫瘍・慢性硬膜下血腫・血管病変など、 見逃してはいけない器質的疾患を疑う重要な手がかりになることがあります。
「いつもの頭痛だから」「昔からあるから」と自己判断してしまうと、 本来は画像検査で確認すべきサインを見過ごしてしまう可能性もあります。
下高井戸脳神経外科クリニックでは、 頭痛の起こる時間帯・頻度・経過、も丁寧に伺ったうえで、 必要に応じてMRI検査を行い、脳そのものに異常がないかをしっかり確認します。
- この頭痛は経過観察でよいのか
- 薬物治療が適切なのか
- 画像検査で確認すべき頭痛なのか
を専門的な視点で判断し、患者さん一人ひとりに合った対応をご提案します。
「この頭痛、様子を見ていて大丈夫だろうか」
「MRIで一度きちんと調べた方がいいのか迷っている」
そのような場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
頭痛の“タイミング”に着目した診察とMRI検査で、安心できる診断をお手伝いします。
よくあるご質問(FAQ)
頭痛がある場合、必ずMRI検査は必要ですか?
A. すべての頭痛でMRIが必要というわけではありませんが、
- はじめて経験する強い頭痛
- これまでとパターンが異なる頭痛
- 麻痺・しびれ・構語障害などの神経症状を伴う場合
などでは、脳血管障害や脳腫瘍などの二次性頭痛を除外するためにMRI検査が重要になります。当院では診察内容を踏まえて必要性を判断します。
市販の鎮痛薬が効いている場合でも受診した方がよいですか?
A. 一時的に効いている場合でも、頭痛の頻度が増えている、薬を使う回数が増えている場合は受診をおすすめします。
鎮痛薬の使い過ぎにより、かえって頭痛が慢性化する「薬剤乱用性頭痛」を防ぐためにも、頭痛のタイプを整理することが重要です。
片頭痛と緊張型頭痛は自分で見分けられますか?
A. ある程度の目安はありますが、実際には両者が混在していることも少なくありません。
- ズキズキして動くと悪化し、吐き気や光過敏を伴う → 片頭痛を疑う
- 締め付けるような痛みで、首肩こりを伴う → 緊張型頭痛を疑う
ただし正確な診断には、詳細な問診と経過の整理が重要です。
夜中に頭痛で目が覚めるのは危険ですか?
A. 群発頭痛や睡眠時頭痛などの一次性頭痛のこともありますが、夜間頭痛では二次性頭痛の除外が重要です。
特に初めての夜間頭痛や、痛みが強くなっている場合は、MRIによる評価を行ったうえで診断を進めます。
頭痛の予防治療はどのような場合に検討しますか?
A. おおよそ月に4日以上頭痛がある場合、または片頭痛によって日常生活や仕事に支障が出ている場合には、予防治療を検討します。
薬物治療だけでなく、睡眠・食事・ストレスなどの生活要因も含めて、患者さんごとに最適な治療方針を相談します。
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下高井戸脳神経外科クリニックは、東京都杉並区・世田谷区・渋谷区西部を中心に、 京王線(下高井戸・明大前・桜上水・千歳烏山・上北沢・八幡山・芦花公園・笹塚・代田橋)、 京王新線(幡ヶ谷・初台)、 東急世田谷線(松原・山下・宮の坂)、 小田急線沿線(代々木上原・東北沢・下北沢・世田谷代田・梅ヶ丘・豪徳寺)、 渋谷区西部(上原・大山町・西原・本町) から通院しやすい立地にある、脳神経外科専門クリニックです。
頭痛・めまい・しびれ・脳梗塞後の経過観察などを中心に、 日本脳神経外科学会専門医である院長が、診察から検査結果の説明まで一貫して対応しています。
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