慢性片頭痛(CM)と新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)
慢性片頭痛(CM)とNDPHの違いと鑑別
―「毎日頭が痛い」だけでは区別できません―
「ほぼ毎日、頭が痛いんです」
外来でときどきご相談いただく内容ですが、この一言だけでは診断は決まりません。
毎日頭痛が生じる原因の代表的なものとして、 慢性片頭痛(Chronic Migraine:CM) と 新規発症持続性連日性頭痛(New Daily Persistent Headache:NDPH) があります。
この2つは
- 毎日、あるいはほぼ毎日頭痛がある
- 症状の性質や随伴症状が似ていることが多い
という共通点がありますが、 診断・治療方針・予後が大きく異なるため、 臨床現場では正確な鑑別が極めて重要になります。
慢性片頭痛とは?(ICHD-3に基づく定義)
慢性片頭痛は、 もともと片頭痛があった方が、徐々に頭痛の頻度が増え、慢性化した状態 を指します。
ICHD-3による慢性片頭痛の診断基準(要約)
- 月15日以上の頭痛が3か月を超えて持続
- そのうち月8日以上が片頭痛の特徴を有する
- 過去に前兆のない片頭痛、または前兆のある片頭痛の既往がある
- 他の頭痛疾患でより適切に説明できない
重要なポイントは、 月15日すべてが典型的な片頭痛である必要はないという点です。
慢性片頭痛では、
- 片頭痛らしい日
- 緊張型頭痛のような日
が混在しており、日数は 「頭痛がある日数」全体で評価します。
CMとNDPHを分ける最大のポイント
―診断を決めるのは「最初の物語」―
症状の強さや痛みの性質だけでは、 慢性片頭痛(CM)とNDPHを区別することはできません。
最も重要なのは「頭痛がどのように始まったか」です。
① 発症様式の違い(最大の鑑別ポイント)
■ 新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)
- ある日、突然頭痛が始まる
- 発症から24時間以内に連日性の頭痛として完成
- 「◯月◯日から始まった」と日付単位で明確に記憶している
- それまで目立った頭痛の既往がないことが多い
いわゆる 「スイッチが入ったように毎日の頭痛に移行した」 という経過が典型的です。
■ 慢性片頭痛(CM)
- 発症は徐々
- 月数回 → 週数回 → ほぼ毎日、というように時間をかけて頻度が増加
- 「いつから毎日になったか」を明確に言えないことが多い
慢性化のプロセスが存在する点が最大の特徴です。
② 頭痛の既往歴の違い
- NDPH:注目すべき頭痛の既往がないことが多い
- 慢性片頭痛:片頭痛の既往が必須
過去に軽い頭痛があったとしても、 発症前に頻度が増えていた経過がなければNDPHを疑います。
③ 症状が似ているため鑑別が難しい理由
痛みの性質や随伴症状だけでは、両者の鑑別は困難です。
- NDPHでも片頭痛様症状(拍動性、吐き気、光・音過敏)を示すことがある
- 慢性片頭痛でも緊張型頭痛様の痛みが混在する
「片頭痛っぽい症状=慢性片頭痛」とは限らない 点が重要です。
④ ICHD-3に基づく診断の原則
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では、
- 症状が慢性片頭痛の基準を満たしていても、突然発症で日付が特定できる場合はNDPH
- 発症様式が不明確、または徐々に増えてきた場合は慢性片頭痛として診断
👉 診断を分けるのは「今の症状」ではなく「最初の始まり方」です。
NDPHについて詳しくお知りになりたい方へ
新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)については、 発症の特徴・診断・治療の考え方を 別記事で詳しく解説しています。
▶ 新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)について詳しくはこちら
まとめ:「毎日頭が痛い」方へ
慢性的な頭痛では、 「どんな痛みか」よりも「どう始まったか」 が診断の鍵になります。
下高井戸脳神経外科クリニックでは、 国際頭痛分類(ICHD-3)と診療ガイドラインに基づき、 頭痛の“物語”を丁寧に整理する診療を行っています。
「ずっと続いている頭痛だから仕方ない」と諦める前に、 一度ご相談ください。


