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片頭痛予防薬の選び方

脳疾患の解説  / 頭痛

片頭痛予防薬の選び方|安全性と根拠を重視した当院の考え方

片頭痛の治療は、大きく
「急性期治療(発作が起きたときの治療)」
「予防治療(発作を起こりにくくする治療)」
2本柱で成り立っています。

急性期治療薬については前回の記事でまとめておりますので
「片頭痛の薬は“合う・合わない”で選ぶ時代へ」
をご参照ください。

予防治療の目的は、発作の頻度・重症度・持続時間を減らし、生活の支障を軽くすることです。
さらに、
急性期薬が効きやすくなること、
薬剤使用過多による頭痛(MOH)を防ぐこと、
反復性片頭痛から慢性片頭痛への進行(慢性化)を抑えることも目標になります。

臨床研究では、予防療法が「成功」とされる目安の一つとして、頭痛日数が50%以上減少することがよく用いられます。

一方で、予防薬は「誰にでも同じ薬が効く」わけではなく、患者さんの体質や併存症、生活背景を踏まえて“一緒に選び、一定期間で評価し、必要なら切り替える”という考え方が大切です。

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下高井戸脳神経外科クリニックでできること

当院では、片頭痛に対して安全性と合理性を重視した共同意思決定(Shared Decision Making)で治療を組み立てます。
片頭痛(前兆あり/前兆なし)を含む頭痛の評価を行い、必要に応じてMRI画像検査を実施し、脳梗塞・脳出血・腫瘍などの二次性頭痛(危険な頭痛)が隠れていないかを確認します。
発作の頻度だけでなく、仕事や家事・育児など日常生活への影響急性期治療薬の使用頻度を整理し、薬剤使用過多による頭痛(MOH)のリスクも含めて評価します。
• 予防療法については、開始のタイミングだけでなく、効果判定の期間、継続の目安、状態が安定した際の減量・中止の考え方まで、見通しを持ってご説明します。
• 日本の医療制度では、薬剤には保険適用の範囲があり、また一部には適応外使用(オフラベル)として扱われる薬剤も存在します。当院では、こうした違いを丁寧に区別したうえで、患者さんの背景に合った選択肢を整理して提示します。
• もし適応外使用を検討する場合には、国内外の報告や医学的合理性などの根拠、ほかに選べる治療(代替案)も含めてご説明し、患者様が納得して選べるように配慮します

ご予約はこちらの予約ページからお進みいただけます。

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目次

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各論

1. 片頭痛の予防薬:いつから始める?

片頭痛の予防療法は、「発作がどれくらいの頻度で起きているか」だけでなく、
日常生活への支障の程度を含めて総合的に判断します。

当院では、患者さん一人ひとりの状況に応じて、予防薬を開始するかどうかを検討します。
一般的に、予防療法の導入を考える目安は次のような場合です。
月に4回以上の片頭痛発作がある
あるいは、月に6日以上の頭痛日が続いている
• 適切な急性期治療(痛み止めやトリプタンなど)を行っても、仕事や家事、学業など日常生活に著しい支障が出ている
急性期治療薬が使えない(禁忌がある)、あるいは副作用が強くて続けられない、効果が十分でない
• 急性期治療薬の使用回数が多く、薬剤の使いすぎによる頭痛(薬剤使用過多頭痛:MOH)が心配される
• 片麻痺性片頭痛、脳幹性前兆を伴う片頭痛、前兆が長く続くタイプなど、慎重な経過観察が必要な特殊な病型
• 「できるだけ発作を減らし、生活を安定させたい」という患者さんご本人の強い希望がある

薬剤使用過多頭痛(MOH)とは
MOHとは、頭痛を抑えるために使っている急性期治療薬そのものが、かえって頭痛を起こりやすくしてしまう状態です。
鎮痛薬やトリプタンなどを頻回に使用していると、頭痛が治まりにくくなり、「痛いから薬を飲む → さらに頭痛が増える」という悪循環に陥ることがあります。
このような場合、急性期治療薬を我慢するだけでは改善が難しく、予防療法を取り入れて頭痛そのものを起こりにくくすることが重要になります。
予防薬は「まだそこまでひどくないから不要」というものではなく、今後の悪化や慢性化を防ぐための治療でもあるのです。
現在の症状だけでなく、将来の見通しも含めて、予防療法を始めるタイミングを一緒に考えていきましょう。

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2. 予防薬は一生飲むの?(継続と中止の考え方)

予防薬というと、「一度始めたら、ずっと飲み続けなければならないのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、片頭痛の予防療法は状態に応じて調整していく治療であり、一生続けることを前提としたものではありません。
当院では、次のような考え方で継続や中止を検討します。

効果判定の期間
予防薬は、飲み始めてすぐに効果がはっきり出るとは限りません。
目標となる用量に達してから、少なくとも2〜3か月間は継続し、その間の発作頻度や生活への影響をもとに効果を評価します。

継続の目安
効果があり、副作用などの問題もなく続けられる場合には、頭痛の状態を安定させる目的で、6〜12か月程度の継続を検討することが一般的です。

中止の方法
発作が落ち着き、日常生活に大きな支障がなくなった場合には、数か月かけてゆっくりと減量しながら、中止できるかどうかを確認します。急にやめるのではなく、体の反応を見ながら段階的に進めることが大切です。

再燃時の対応
減量や中止の途中、あるいは中止後に頭痛が再び増えてきた場合には、予防薬の再導入や用量の調整、薬剤の変更などで対応します。

近年使用されているCGRP関連抗体薬は、比較的副作用が少なく、長期間の継続を希望される方もいらっしゃいます。ただし、これらの薬剤についても、投与開始後3か月程度を目安に有益性を評価し、十分な効果が得られない場合には中止を検討します。
また、症状が改善し、日常生活に支障がなくなった場合でも、「今の状態に本当に継続が必要か」を定期的に見直すことが重要です。

予防療法は、ずっと同じ形で続けるものではなく、その時々の状態に合わせて調整していく治療です。
当院では、経過を一緒に振り返りながら、継続・減量・中止のタイミングを丁寧に相談してまいります。

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3. 日本で処方される予防薬の全体像(保険適用/適応外)

!ここが重要です保険適用と「適応外使用」の考え方
片頭痛の予防薬を考えるうえで、とても大切なポイントがあります。
それは、日本では薬事承認(医薬品医療機器等法)と、保険診療上の適用(診療報酬制度)が別の制度として運用されている、という点です。
この2つは必ずしも一致しておらず、実際の診療では少し分かりにくい状況が生じることがあります。
そのため、
• 添付文書上は「適応外」とされていても、一定の条件を満たせば保険診療として認められる場合がある一方で、
• 逆に、医学的には使われることがあっても、保険適用外となり自費診療になるケースも存在します。
当院では、こうした制度上の違いを踏まえたうえで、患者さんに分かりやすく説明することを重視しています。

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片頭痛に関する保険適用/適応外の整理(本記事で扱う範囲)
まず、片頭痛に対して保険適用がある薬剤(予防または治療)は次の通りです。

• ロメリジン、プロプラノロール、バルプロ酸
• CGRP関連薬(ガルカネズマブ・リメゲパント(急性期治療+発症抑制)等)
• 五苓散(「頭痛」の効能)
• 呉茱萸湯(「習慣性偏頭痛」の効能)

これらは、日本の制度上、片頭痛に対して保険診療として使用できる選択肢です。

一方で、片頭痛の予防としては下記のように「適応外使用」になり得る薬剤もあります。当院では、これらについては安全性を最優先に、慎重に検討します。

• トピラマート
• アミトリプチリン
(※条件によっては、保険診療として認められ得る枠組みがある点に留意が必要です)
• ペリアクチン
• 葛根湯(本記事では、片頭痛予防としては「該当なし」として扱います)

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「昭和55年9月通知(55年通知)」とは
日本の保険診療には、いわゆる「昭和55年9月通知(55年通知)」と呼ばれる考え方があります。
これは、
• 薬理作用が同一のカテゴリーに属していること
• 医学・薬学的に公知の事実として認められていること
• 学会ガイドラインなどで標準的治療として位置づけられていること
といった条件を満たす場合に、添付文書上は適応外であっても、保険診療として認められる可能性があるという枠組みです。
実際の例として、アミトリプチリンは、片頭痛や緊張型頭痛に対して、学会ガイドラインで位置づけが示されてきた経緯があり、この通知の考え方を背景に使用されてきました。

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✅当院の考え方
下高井戸脳神経外科クリニックでは、
「使えるから使う」「慣例だから使う」という判断は行いません。
• まずは保険適用のある標準的な治療を軸に検討する
• それでも十分な効果が得られない、あるいは安全面で問題がある場合に限り、適応外使用を選択肢として慎重に検討する
• 適応外使用を行う場合には、根拠・代替治療・保険や費用の扱いを含めて丁寧に説明する。
このような姿勢で、安全性と納得感を重視した治療選択を行っています。

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4. 予防薬の選択肢と特徴(薬剤別ガイド)

A)保険適用のある予防薬(中心となる選択肢)

1)ロメリジン(ミグシス®)
特徴
ロメリジンは、日本で開発されたカルシウム拮抗薬で、脳血管に比較的選択的に作用することが特徴です。全身の血圧への影響は比較的軽度とされており、長年にわたり片頭痛予防薬として使用されてきた実績があります。
向いている患者さん
ロメリジンは片頭痛が起こる前に生じる脳血管の収縮を抑えることで、前兆やその後の頭痛の発症を効果的に軽減するので前兆のある片頭痛を繰り返す方に向いています。初めて予防薬を検討する方や、「できるだけ強い副作用は避けたい」と考える方に選択されることの多い薬剤です。
投与量の目安
通常、成人では1回5mgを1日2回、朝食後および夕食後、あるいは就寝前に内服します。症状に応じて増減が可能ですが、1日の総投与量は20mgを超えないこととされています。臨床試験では、1日10mgが至適用量であると報告されており、多くの方はこの用量で経過をみます。
効果が期待できるまで
ロメリジンは即効性のある薬ではありません。予防薬一般の考え方に従い、目標用量に達してから2〜3か月を目安に、発作の頻度や日常生活への影響がどの程度変化したかをもとに効果を評価します。
継続・減量・中止の考え方
ロメリジンを含む予防療法では、
 • 頭痛発作が消失または明らかに軽減し、日常生活への支障がなくなった場合には、
    一旦減量や中止を検討し、本当に投与を続ける必要があるかを改めて見直します。
    • 一方で、一定期間(目安として2〜3か月以上)投与しても十分な改善が認められない場合に          は、漫然と内服を続けず、薬剤の変更や治療方針の再検討を行います。
予防療法全般の指針として、十分な効果が得られた場合には、6〜12か月程度継続して状態を安定させた後、緩やかに減量・中止を試みることが推奨されます。
処方しない/注意が必要なケース
頭蓋内出血や脳梗塞急性期では使用できません。脳血流に影響を与える作用があるため、これらの状態では症状を悪化させるおそれがあります。
また、妊娠中または妊娠の可能性がある場合、重い肝機能障害がある場合には、使用に際して慎重な判断が必要です。

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2) プロプラノロール(インデラル® など)
特徴
プロプラノロールはβ遮断薬で、心拍数や交感神経の過剰な興奮を抑える作用があります。
片頭痛予防として保険適用があり、頭痛そのものだけでなく、血圧や脈拍、不整脈など循環器系の併存症もあわせて考慮しやすい薬剤です。
向いている患者さん
高血圧、冠動脈疾患、不整脈を合併している方や、緊張やストレスで片頭痛が悪化しやすい方に向いています。
投与量の目安(日本での使い方)
日本の承認事項および診療ガイドラインに基づく、片頭痛予防での標準的な投与方法は以下の通りです。
 • 開始用量:
   通常、成人では1日20〜30mgから開始します。
   • 増量と上限:
      効果が不十分な場合には、状態を観察しながら1日60mgまで段階的に増量します。
   • 服用回数:
   1日の総量を2回または3回に分けて内服します。
海外(米国など)のガイドラインでは、1日40〜240mgといった高用量が示されることもありますが、日本では高血圧症などで低用量から使われてきた経緯があり、片頭痛予防についても1日20〜60mgの範囲で有効かつ安全に使用するのが一般的です。
効果が期待できるまでの期間
即効性はなく、予防薬一般の考え方に従い、2〜3か月を目安に、発作頻度や日常生活への影響の変化をもとに効果を評価します。
・服用上の重要な注意点
予防療法では、少量から開始することが重要です。特に長期投与となる場合には、以下の点を定期的に確認します。
 • 血圧・脈拍
 • 心電図(必要に応じて)
これにより、過度な心拍数低下や血圧低下を防ぎます。
処方しない/注意が必要なケース
次のような場合には、原則として使用できない、または慎重な判断が必要です。
 • 気管支喘息(発作を誘発するおそれ)
 • 徐脈や重度の心伝導障害
 • 糖尿病(低血糖時の自覚症状が出にくくなるため注意)
・重要な相互作用(併用禁忌)
 プロプラノロールは、片頭痛の急性期治療薬であるリザトリプタン(マクサルト®)と併用禁忌です。
 プロプラノロールがリザトリプタンの代謝を抑制し、血中濃度を約2倍に上昇させることで、副作用のリスクが高まるためです。
この場合、急性期治療薬の選択自体を見直す必要があります。

プロプラノロールは、「片頭痛+循環器の状態」を同時に整えられる予防薬ですが、
その一方で、使ってはいけないケースや相互作用が明確な薬剤でもあります。
当院では、投与量・併用薬・定期評価を含めて整理したうえで、
安全性を最優先に予防療法を進めていきます。

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3) バルプロ酸ナトリウム(デパケン® など)
特徴
バルプロ酸ナトリウムは、神経の過剰な興奮を抑える抗てんかん薬で、片頭痛の予防(発症抑制)として日本でも保険適用があります。
中枢神経全体の興奮性を下げる作用があり、古くから片頭痛予防薬として使用されてきた実績のある薬剤です。
向いている患者さん
 • 発作頻度が多く、中等度〜重症の片頭痛を繰り返す方
 • 片頭痛に加えて、てんかんや気分障害を合併している方
一方で、妊娠との関係には特に注意が必要な薬剤です。
投与量の目安(日本での用法・用量)
日本で承認されている片頭痛予防としての用量は以下の通りです。
 • 通常の投与量:成人では、1日400〜800mgを1日2〜3回に分けて内服します。
 • 増減と上限:年齢や症状に応じて調整しますが、1日の上限は1,000mgと定められています。
 • 投与の原則:副作用を避けるため、少量から開始し、徐々に増量していくのが基本です。

効果が期待できるまで
バルプロ酸は急性期治療薬(頓服薬)とは異なり、飲んですぐに頭痛を止める薬ではありません。
 • 予防薬一般の原則として、目標用量に達してから少なくとも2〜3か月は継続し、
      効果を判定します。
    • 海外の研究では、慢性片頭痛患者において、服用開始1か月目から頭痛日数減少が認められ
      3か月目にはより明確な改善が示されたと報告されています。
    • 血中濃度自体は比較的早期に安定しますが、脳の興奮性を抑え、「頭痛が起きにくい状態」へ
       変えていくには時間が必要です。
なお、実際の臨床現場では、他の予防薬と比べて比較的早期に効果を実感される方が多いという印象があります。
「飲み始めて数週間で、発作の強さや回数が軽くなった」と感じる方も少なくありません。

処方しない/注意が必要なケース(重要)
 • 妊娠中、または妊娠している可能性のある女性
  胎児の催奇形性(神経管閉鎖障害など)や、出生後の知能指数(IQ)低下のリスクが報告さ れており、原則として使用できません。
 • 主な副作用
  眠気、ふらつき、吐き気、食欲不振、体重増加、脱毛などがみられることがあります。
 • 検査とモニタリング
 重篤な肝障害や高アンモニア血症が起こることがあるため、服用中は
  ✓ 肝機能検査
  ✓ 血中アンモニア値
 などを定期的に確認することが望ましいとされています。

下高井戸脳神経外科クリニックでの考え方
バルプロ酸は、効果の確実性という点では非常に頼りになる予防薬です。一方で、妊娠・副作用・定期検査といった注意点も明確な薬剤でもあります。
当院では、
• 妊娠の可能性の有無を必ず確認したうえで使用を検討する
• 効果が得られているかを早期から丁寧に評価する
• 漫然と続けず、安定すれば減量・中止も視野に入れる
という姿勢で、安全性と実効性のバランスを重視してバルプロ酸を位置づけています。

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4) CGRP関連抗体(ガルカネズマブ/エムガルティ®)
特徴
エムガルティは、片頭痛の発症に深く関与するCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とした抗体製剤です。
従来の内服予防薬とは異なり、片頭痛のメカニズムそのものに直接作用する点が特徴で、月1回の皮下注射で使用します。
向いている患者さん
 • ロメリジン、プロプラノロール、バルプロ酸などの従来の予防薬で効果が不十分な方
 • 副作用のために内服薬を継続できなかった方
 • 発作頻度が多く、日常生活や仕事への支障が大きい片頭痛の方
日本では、一定の条件を満たした場合に保険適用で使用されます。

投与方法・投与量
 • 初回投与:
  120mgを2本同時に皮下注射(初回負荷投与)
 • 維持投与:
  以降は120mgを月1回、皮下注射します
 自己注射が可能な薬剤で、導入後はご自宅での投与も可能です。

効果が期待できるまで
エムガルティは、予防薬の中でも比較的効果発現が早いことが特徴です。
• 臨床試験では、投与1か月目から片頭痛日数の有意な減少が確認されています。
• 実際の診療現場では、注射翌日から「頭痛の質が変わった」「発作が起きにくくなった」と実感される患者さんもいらっしゃいます。
• ただし、すべての方に即効性があるわけではないため、投与開始後3か月(3回投与)を目安に有益性を評価します。

継続・中止の考え方
• 3か月評価で十分な効果が得られない場合は、漫然と継続せず中止を検討します。
• 発作が大きく減少し、日常生活に支障がなくなった場合も、定期的に投与継続の必要性を見直します。
• 海外のガイドラインでは、12〜18か月後に一度休薬を検討する考え方も示されており、当院でも状態に応じて相談します。

副作用・注意点
エムガルティは全体として忍容性が高い薬剤ですが、以下の点に注意します。
 • 注射部位反応(痛み、赤み、腫れ)
 • 便秘
 • 過敏症反応(まれ)
現時点では、肝機能や腎機能に対する定期的な血液検査は必須とされていません。

処方しない/慎重に検討するケース
 • 本剤に対する重篤なアレルギー既往がある方
 • 妊娠中・授乳中の使用については、安全性データが十分でないため慎重な判断が必要です

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5) リメゲパント(ナルティークOD錠® など)
特徴
リメゲパントは、片頭痛の発症に関与するCGRP受容体を阻害する内服薬(ゲパント系)です。
最大の特徴は、急性期治療(痛い時)と予防(発症抑制)の両方に使える点にあります。
OD錠(口腔内崩壊錠)のため、水がなくても服用しやすい薬剤です。
向いている患者さん
 • トリプタンが効かない、または副作用で使えない方
 • 心血管系の理由でトリプタンの使用に制限がある方
 • 「急性期薬と予防薬をできるだけシンプルに管理したい」方
 • 注射製剤には抵抗があるが、新しい治療選択肢を検討したい方

投与方法・投与量
リメゲパントは、使用目的によって投与方法が異なります。
 • 急性期治療
 片頭痛発作時に1回75mgを1錠内服します。
 原則として、24時間以内の再投与は行いません。
 • 予防(発症抑制)
 75mgを隔日投与します。
 内服日と非内服日を交互に設けることで、発作頻度の低下を目指します。

効果が期待できるまで
急性期治療として
 • 服用後、1.5〜2時間以内に痛みの軽減や消失が期待されます。
 • 悪心や光・音過敏などの随伴症状が同時に改善する例もあります。
予防として
 • 隔日投与を継続することで、数週間〜2か月程度で発作頻度の減少が徐々に評価されます。
 • 他の予防薬と同様に、2〜3か月を目安に有益性を判断します。

副作用・忍容性
リメゲパントは全体として副作用が少なく、忍容性の高い薬剤です。
 • 主な副作用:
  吐き気、腹部不快感、口渇など(いずれも軽度なことが多い)
 • トリプタンで問題となる血管収縮作用はありません。

処方しない/注意が必要なケース
 • 重度の肝機能障害がある方
 • 重度の腎機能障害がある方
 • 妊娠中・授乳中の使用については、安全性データが十分でないため慎重な判断が必要です。
また、CYP3A4を強く阻害する薬剤との併用には注意が必要な場合があります。

他の予防薬との位置づけ
リメゲパントは、
 • 従来の内服予防薬
 • CGRP関連抗体(注射薬)
の中間的な選択肢として位置づけられます。
 「注射までは考えていないが、従来薬以外の選択肢を試したい」
 「急性期薬の使いすぎ(MOH)を避けたい」
といった場面で、非常に実用的な薬剤です。

下高井戸脳神経外科クリニックでの考え方
当院ではリメゲパントを、
「急性期と予防を一本化できる合理的な選択肢」として位置づけています。
• 発作時の対応
• 予防としての効果
• MOHのリスク
• 費用や継続のしやすさ
これらを総合的に整理したうえで、
「今の生活に一番合うかどうか」を患者さんと一緒に考えます。

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B)漢方薬(保険処方の範囲にある選択肢)

6) 五苓散(ごれいさん)
特徴
五苓散は、体内の水分バランス(いわゆる「水毒」)を整える作用をもつ漢方薬です。
日本では「頭痛」の効能があり、保険診療で使用できます。
片頭痛そのものを直接抑え込む薬というより、頭痛を誘発しやすい体質や環境要因を整える位置づけの薬剤です。
向いている患者さん
 • 天候の変化(低気圧・雨・台風)で頭痛が悪化する方
 • むくみ、尿量の変動、口渇など、水分代謝の乱れを感じやすい方
 • 二日酔い時に頭痛が出やすい方
 • 西洋薬の予防薬に副作用が出やすい、または併用を希望される方

投与方法・投与量
通常、エキス顆粒(医療用)として処方します。
 • 一般的な用量:
1日7.5gを2〜3回に分けて内服します。
 • 食前または食間に服用することが多いですが、継続しやすさを優先して調整します。

効果が期待できるまで
五苓散は体質改善的に作用する漢方薬ですが、
 • 数日〜数週間で「頭が重くなりにくくなった」「天気による波が減った」と感じる方もいます。
 • 片頭痛予防としては、2〜4週間程度で全体の傾向を評価します。
西洋薬の予防薬のように「発作を半分にする」ことを単独で目指す薬ではなく、
悪化要因を減らす補助的な役割として評価します。

副作用・注意点
五苓散は比較的安全性の高い薬剤ですが、以下の点に注意します。
 • 胃部不快感、食欲不振、下痢などの消化器症状
 • 体質に合わない場合、効果が乏しいことがあります
甘草を含まないため、偽アルドステロン症のリスクは低いとされています。

処方しない/慎重に検討するケース
 • 明らかな脱水状態がある場合
 • 症状と体質が合わないと判断される場合
五苓散は「効く人にははっきり効く」一方で、
合わない場合は無理に続けないことが大切です。

他の予防薬との位置づけ
五苓散は、
 • ロメリジンやプロプラノロールなどの西洋薬予防薬の代替ではなく
 • 併用して補助的に使うことで効果を発揮しやすい薬剤です。
特に、
 「天候で左右される波を減らしたい」
 「薬を増やしすぎたくない」
といった希望がある方に適しています。

下高井戸脳神経外科クリニックでの考え方
当院では五苓散を、
「片頭痛を起こしにくい環境を整える薬」として位置づけています。
 • 西洋薬で軸を作り
 • 五苓散で揺らぎを減らす
そのような組み合わせも含めて、
無理なく続けられる予防療法を一緒に考えていきます。

五苓散のもう一つの使い方:頓用・準頓用という選択肢
五苓散の特徴の一つは、低気圧や天候の変化に伴って出現するいわゆる「お天気頭痛」に対し、その時だけ内服する使い方が可能である点です。
定期内服だけでなく、頓用(とんよう)あるいは準頓用として使用できることは、五苓散ならではの利点といえます。
「頭痛の診療ガイドライン 2021」においても、低気圧で誘発されやすい頭痛については、
普段から内服している場合に追加で服用する方法だけでなく、
「定期服用していない場合には、頓用での使用も可能である」と明記されています。

頓用・準頓用が考慮されるケース
 • 喉の渇きや尿量の減少を伴う頭痛
 • むくみ、めまい、吐き気を伴う頭痛
 • 天候(低気圧・雨・台風)と症状の出現に明確な関連がある場合

気圧変化との関係
五苓散は、血液透析に伴う頭痛(一時的な脳浮腫が関与すると考えられる状態)に有効とされてきた経緯があり、
現在では細胞膜に存在するアクアポリン(水チャネル)を介して水分代謝を調節し、脳浮腫を抑制する作用が確認されています。
この作用機序が、低気圧に伴う頭痛との相性の良さにつながっていると考えられています。

飲み方の実際
通常は1日2〜3回、食前または食間に服用しますが、
天候による症状の変動がはっきりしている場合には、
「気圧が下がりそうなタイミング」や「症状を感じ始めた時点」で内服するといった使い方が、実臨床では行われています。

例え話:
五苓散の使い方は、いわば「ダムの放水管理」に似ています。
常に水が溜まりやすい体質(水滞)の方では、毎日内服してダムの水位を一定に保つ(定期服用)のが基本です。
一方で、台風(低気圧)が近づき、急激に雨量が増えそうな時だけ、一時的に放水ゲートを開けて調整する(頓用)という方法も、この薬の性質にかなった合理的な使い方といえます。

7) 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
特徴
呉茱萸湯は、体を内側から温め、血流を改善する作用をもつ漢方薬です。
日本では「習慣性偏頭痛」の効能が明記されており、片頭痛に対して保険診療で使用可能です。
五苓散が「水分バランスの調整」を得意とするのに対し、
呉茱萸湯は冷えや血流障害を背景とした片頭痛に向いている点が大きな特徴です。

向いている患者さん

 • 冷え性があり、手足やお腹が冷えやすい方
 • 早朝や起床時に片頭痛が起こりやすい方
 • 頭痛に吐き気・嘔吐を伴いやすい方
 • 温めると楽になり、冷えると悪化する頭痛の方
とくに、女性の片頭痛でこれらの特徴が重なる場合、呉茱萸湯が合うことがあります。

投与方法・投与量
通常は、医療用エキス顆粒を使用します。
 • 一般的な用量:
 1日7.5gを2〜3回に分けて内服します。
 • 食前または食間の服用が基本ですが、継続しやすさを優先して調整します。

効果が期待できるまで
呉茱萸湯は体質改善的に作用する漢方薬ですが、
 • 数日〜数週間で「頭痛の頻度が減った」「吐き気が軽くなった」と感じる方もいます。
 • 片頭痛予防としては、2〜4週間程度で全体の傾向を評価します。
単独で発作を完全に抑え込むというより、
「起こりにくくする」「重くなりにくくする」ことを目的とした薬剤です。

副作用・注意点
呉茱萸湯は比較的安全性の高い漢方薬ですが、以下の点に注意します。
 • 胃部不快感、食欲不振などの消化器症状
 • 体質に合わない場合、のぼせやほてりを感じることがあります
甘草を含むため、長期大量投与では偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇、低カリウム血症)に注意が必要ですが、通常量では頻度は高くありません。

処方しない/慎重に検討するケース
• 明らかなのぼせ体質の方
• 高血圧や浮腫が強く、甘草の影響が懸念される場合
呉茱萸湯も五苓散と同様に、
「合う人にははっきり効くが、合わない場合は無理に続けない」ことが重要です。

✅五苓散との使い分け
• 五苓散:
 天候・低気圧・むくみ・水分代謝の乱れが目立つ片頭痛
• 呉茱萸湯:
冷え、早朝発症、吐き気を伴う片頭痛
 症状によっては、両者を時期や状況で使い分けることもあります。

下高井戸脳神経外科クリニックでの考え方
当院では呉茱萸湯を、
「冷えと血流の偏りが関与する片頭痛を整える漢方薬」として位置づけています。
 • 西洋薬で発作の軸を抑え
 • 漢方薬で体質的な引き金を減らす
そのような組み合わせも含めて、
無理なく続けられる片頭痛予防を患者さんと一緒に考えていきます。

味に関する注意点(大切なポイント)
呉茱萸湯は、漢方薬の中でも苦味が強いことで知られています。
初めて服用される方の中には、「思ったより苦い」と感じる方も少なくありません。
そのため、
 • 少量から試す
 • ぬるま湯で一気に服用する
 • 服用後に少量の水やお茶で口をゆすぐ
といった工夫で、内服の負担を減らすことができます。
苦味が強くて継続が難しい場合には、無理に続けず、他の漢方薬や西洋薬への切り替えも検討します。

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C)適応外使用として検討され得る薬(安全重視で慎重に)

8) トピラマート(トピナ® など)
日本における位置づけ(重要)
トピラマートは、日本国内において片頭痛に対する薬事承認を得ておらず、現時点では保険適用もありません。
日本での正式な適応は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者」に対する併用療法に限定されています。
そのため、片頭痛の予防(発症抑制)目的で使用する場合は、適応外使用(オフラベル)という扱いになります。

国際的な評価と国内ガイドラインでの扱い
一方で、トピラマートの評価は国際的には非常に高いものがあります。
 • 国際的な評価
 欧米のガイドラインでは、バルプロ酸やプロプラノロールと並び、
 片頭痛予防の第一選択薬(エビデンスレベルA)として強く推奨されています。
 • 国内ガイドラインでの位置づけ
 「頭痛の診療ガイドライン 2021」においても、高いエビデンスを持つ薬剤として紹介されてお り、
 重症の片頭痛患者に対して、今後の適応拡大が望まれている薬剤とされています。
 このように、科学的根拠と制度上の扱いにギャップがある薬剤である点が、トピラマートの最大の特徴です。

特徴
トピラマートは、神経の過剰な興奮を抑える抗てんかん薬で、
ナトリウムチャネル抑制、GABA作用増強、グルタミン酸抑制など、複数の作用機序を持ちます。
片頭痛の背景にある神経の過敏性そのものを下げる作用が期待されます。

向いている患者さん
• 他の予防薬(ロメリジン、プロプラノロール、バルプロ酸など)で十分な効果が得られない方
• 肥満を合併している片頭痛患者
(副作用としての体重減少効果を治療上の利点として活かせる場合)
• 前兆のある片頭痛を繰り返す方
一方で、副作用の出やすさから、慎重な選択が必要な薬剤でもあります。

投与方法・投与量(実臨床での考え方)
トピラマートは、副作用を避けるため極めてゆっくり導入します。
 • 開始用量:通常、25mg/日から開始します。
 • 増量方法:1〜2週間ごとに25mgずつ増量します。
 • 維持量の目安:50〜100mg/日(1日2回分服)が一般的です。
海外では200mgまで用いられることもありますが、
日本人では低用量でも副作用が出やすいため、必要最小限の用量で評価します。

効果が期待できるまで
 • 目標用量に達してから、2〜3か月を目安に効果を評価します。
 • 発作頻度の減少だけでなく、発作の強さや持続時間が軽くなる形で効果を実感される方もいます。

副作用・注意点(重要)
トピラマートは効果が高い反面、特徴的な副作用があります。
 • 手足や口周囲のしびれ感
 • 集中力低下、言葉が出にくい感じ
 • 食欲低下、体重減少
 • 倦怠感、眠気
これらは用量依存性であり、増量を急ぐと出やすくなります。

処方しない/慎重に検討するケース
 • 妊娠中・妊娠の可能性がある女性
 (口唇口蓋裂などの胎児奇形リスクが報告されています)
 • 腎結石の既往がある方
 • うつ症状や認知機能低下が問題となる方
また、日本では片頭痛予防として適応外使用となるため、
十分な説明・同意・診療録への明確な記載が不可欠です。

例え話
トピラマートは、いわば
「海外のプロリーグでMVP級の実績があるものの、日本の公式リーグにはまだ選手登録が完了していない助っ人選手」
のような存在です。
実力(予防効果)は世界的に証明されていますが、
日本の公式なルール(保険診療)ではまだ本登録されていないため、
現時点では特定の条件下での“オープン戦(適応外使用)”としての起用にとどまっています。

下高井戸脳神経外科クリニックでの考え方
当院ではトピラマートを、
「制度上の制約を理解したうえで、慎重に選べば大きな効果が期待できる薬剤」
として位置づけています。
• 適応外使用であることを明確に説明
• 他の選択肢(CGRP関連薬・漢方薬など)と比較
• 効果が乏しければ漫然と続けない
という方針のもと、安全性と合理性を最優先して使用を検討します。

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9) アミトリプチリン(トリプタノール® など)
アミトリプチリンは、日本国内では片頭痛に対する薬事承認は取得していません。
正式な適応は、うつ病・うつ状態、夜尿症などに限られています。
そのため、片頭痛予防として使用する場合は適応外使用となりますが、
日本頭痛学会のガイドラインで長年にわたり位置づけられてきた経緯から、
昭和55年9月通知(55年通知)の枠組みで保険診療として扱われ得る薬剤でもあります。

開始時に必要な検査と安全確認(重要)
アミトリプチリンは有効性がある薬剤である一方、
心臓や血液系への影響に注意が必要な薬剤でもあります。

心電図検査(開始前・増量時)
三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンは、
心伝導系に作用し、不整脈や伝導障害を引き起こす可能性があります。
そのため、以下の理由から、開始前(必要に応じて増量時)に心電図評価を行うことが強く推奨されます。
心電図で特に確認するポイント
 • PR間隔の延長(房室伝導遅延の兆候)
 • QRS幅の延長(心室内伝導障害)
 • QT間隔(QTc)の延長
 → QT延長は致死性不整脈のリスクとなるため重要
 • 既存の心ブロック(房室ブロック)の有無
 • 徐脈・頻脈などの基礎的リズム異常
禁忌となる心疾患
 • 重篤な心血管疾患
 • 心不全
 • 心筋梗塞回復初期
 • ハートブロック(房室ブロック)
これらがある場合、アミトリプチリンは使用できません。

血液検査(採血)
アミトリプチリンでは頻度は高くありませんが、
重篤な血液障害(無顆粒球症など)が報告されています。
そのため、
 • 開始後
 • 定期的な経過観察中
に、血算を含む採血によるチェックを行い、慎重に経過をみることが望ましいとされています。

下高井戸脳神経外科クリニックでの考え方
アミトリプチリンは、
上手に使えば大きな助けになることもありますが、
事前の検査(心電図・採血)と、使い過ぎない配慮が欠かせません。

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5. 当院の考え方:保険適用と適応外使用をどう扱うか

適応外使用(オフラベル使用)とは、医薬品を承認された効能・効果の範囲外で使用することを指します。
日本では、適応外使用そのものが直ちに違法となるわけではなく、医師の裁量権の範囲で認められる場合があります。
ただし、許容されるのは
科学的根拠(エビデンス)と医学的合理性があり、当該時点の医療水準を満たす場合に限られる
という点が重要です。
また、
「よく行われている(医療慣行)」ことと
「標準として求められる(医療水準)」ことは一致しない場合があるという点も、私たちは重く受け止めています。

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当院の基本方針(安全重視)
下高井戸脳神経外科クリニックでは、片頭痛の予防治療において、以下の順序と考え方を大切にしています。
まずは「保険適用のある選択肢」を軸に検討します
基本的には、
薬事承認と保険適用がある薬剤を第一に考えます。
具体的には、
• 従来の片頭痛予防薬
• CGRP関連薬(条件を満たす場合)
• 必要に応じて漢方薬
といった選択肢を、患者さんの病型・生活背景・併存症を踏まえて検討します。

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・適応外使用は「最後の選択肢」として慎重に検討します
それでもなお、
• 効果が十分に得られない
• 禁忌や副作用で使用できない
• 忍容性が著しく低い
といった状況があり、他に現実的な代替手段がない場合に限って、
適応外使用を「候補として」慎重に検討します。
当院では、
適応外使用を前提に治療を組み立てることはありません。

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適応外使用を行う場合に行うこと
適応外使用を検討・実施する場合には、以下を行います。

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CGRP関連薬についての重要な補足
エムガルティ(ガルカネズマブ)や
ナルティーク(リメゲパント)は、
片頭痛に対して初回から使用できる薬剤ではありません。
いずれも、
• 診断基準
• 頭痛日数
• 既存治療の効果や忍容性
といった条件を満たした場合に、
段階的に検討される薬剤です。
この点についても、あらかじめご了承ください。

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Q and A

予防薬はどれくらいで効きますか?

一般に、目標用量に達してから 少なくとも2〜3か月の継続で評価します。
一方、ガルカネズマブは 投与1か月目から改善が期待されることが多いとされています。

効かなかったらどうしますか?

「効かない=終わり」ではありません。
十分な期間(原則2〜3か月)で評価し、無効・副作用があれば 減量・中止・薬剤変更を検討します。

一度始めたらやめられませんか?

症状が安定すれば、数か月かけてゆっくり減量し、中止を試みることが可能です。再燃すれば再導入・増量・変更で対応します。

適応外使用(オフラベル)って危険なのですか?

適応外使用そのものが直ちに危険という意味ではありません。
ただし、説明と同意、根拠、記録、継続評価がより重要になり、副作用時に救済制度の対象外となる可能性もあるため、当院では安全重視で慎重に扱います。

漢方だけで予防できますか?

体質や随伴症状に合えば助けになることがありますが、当院では基本的に標準的な予防薬の選択肢も含めて公平に比較し、必要に応じて併用・切替を検討します。

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受診をご検討の方へ

下高井戸脳神経外科クリニックは、東京都杉並区世田谷区渋谷区西部を中心に、京王線(下高井戸・明大前・桜上水・千歳烏山・上北沢・八幡山・芦花公園・笹塚・代田橋)、京王新線(幡ヶ谷・初台)、東急世田谷線(松原・山下・宮の坂)、小田急線沿線(代々木上原・東北沢・下北沢・世田谷代田・梅ヶ丘・豪徳寺)、渋谷区西部(上原・大山町・西原・本町)から通院しやすい立地にある脳神経外科専門クリニックです。
頭痛・めまい・しびれ・脳梗塞後の経過観察などを中心に、日本脳神経外科学会専門医である院長が、診察から検査結果の説明まで一貫して対応しています。
初診枠をご予約のうえご来院いただいた場合、症状と診察所見から医学的に必要と判断され、かつMRI検査の禁忌事項がない場合には、当日中にMRI検査および結果説明が可能です(土曜日も17時開始枠まで初診予約が可能です)。
詳しいアクセス方法は、サイト内のアクセス案内をご覧ください。
ご予約はこちらから。

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参考文献

1. 日本神経学会,日本頭痛学会,日本神経治療学会,監修.頭痛の診療ガイドライン 2021.東京:医学書院;2021.
2. 日本イーライリリー株式会社.ガルカネズマブ(遺伝子組換え)注射液(エムガルティ皮下注 120mg)医薬品インタビューフォーム.2022年5月改訂(第3版).
3. ファイザー株式会社.リメゲパント硫酸塩水和物 OD 錠(ナルティーク OD 錠 75mg)医薬品インタビューフォーム.2025年12月改訂(第3版).
4. ファイザー株式会社.ロメリジン塩酸塩錠(ミグシス錠 5mg)医薬品インタビューフォーム.2025年5月改訂(第13版).
5. 住友ファーマ株式会社.バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸ナトリウム錠 100mg・200mg・シロップ 5%「DSP」)医薬品インタビューフォーム.2025年10月改訂(第36版).
6. 太陽ファルマ株式会社.プロプラノロール塩酸塩(インデラル注射液 2mg)医薬品インタビューフォーム.2021年12月改訂(第14版).
7. 沢井製薬株式会社.アミトリプチリン塩酸塩錠(アミトリプチリン塩酸塩錠 10mg・25mg「サワイ」)医薬品インタビューフォーム.2022年6月作成.
8. 共和薬品工業株式会社.トピラマート錠(トピラマート錠 25mg・50mg・100mg「アメル」)医薬品インタビューフォーム.2018年10月改訂.
9. 日医工株式会社.シプロヘプタジン塩酸塩水和物(ペリアクチン錠 4mg・散 1%・シロップ 0.04%)医薬品インタビューフォーム.2023年5月改訂(第9版).
10. 株式会社ツムラ.ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)医薬品インタビューフォーム.2020年11月改訂(第6版).
11. 株式会社ツムラ.ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)医薬品インタビューフォーム.2020年11月改訂(第5版).
12. 株式会社ツムラ.ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)医薬品インタビューフォーム.2020年12月改訂(第5版).
13. 株式会社ツムラ.ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)添付文書.2014年11月改訂.
14. Tronvik E, Giri S, Young W. Preventive treatment of migraine: Non-specific oral agents. Handb Clin Neurol. 2024;199:67-86. doi:10.1016/B978-0-12-823357-3.00009-4.
15. Duncan CW, Silberstein SD. Evidence-based preventive treatment of migraine. Handb Clin Neurol. 2024;199:219-241. doi:10.1016/B978-0-12-823357-3.00030-6.
16. Abu-Arafeh I, Howells R. Management of migraine in children and adolescents. Handb Clin Neurol. 2024;199:487-502. doi:10.1016/B978-0-12-823357-3.00034-3.
17. Versijpt J, Paemeleire K, Reuter U, MaassenVanDenBrink A. Calcitonin gene-related peptide-targeted therapy in migraine: current role and future perspectives. Lancet. 2025 Mar 22;405(10481):1014-1026. doi:10.1016/S0140-6736(25)00109-6.
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本記事の執筆者について

本記事は、下高井戸脳神経外科クリニック院長であり、
日本脳神経外科学会専門医・医学博士の 髙橋 里史 が執筆しています。
国際的な総説論文・標準的教科書に基づき、
専門的な内容を一般の方にも分かりやすく整理しています。

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