緊張型頭痛とは?|症状・原因・治療
緊張型頭痛とは?症状・原因・治療を脳神経外科医がわかりやすく解説
「頭が重い」「締め付けられる感じがする」「肩こりと一緒に頭痛が出る」
―そのような症状は、緊張型頭痛の可能性があります。
緊張型頭痛は、日常でよくみられる頭痛のひとつですが、片頭痛や脳・血管の病気との見分けが必要になることもあります。この記事では、緊張型頭痛の典型的な症状、原因、治療、受診の目安について、脳神経外科の立場からわかりやすく解説します。

本記事のイメージ画像は、生成AIを用いて制作したイメージです。特定の人物を示すものではありません。
こんな頭痛は緊張型頭痛かもしれません(まずは架空の典型症例から)
Aさん(35歳、女性)は、都内のIT企業で働いています。責任のある業務を任され、忙しい毎日を送っており、デスクワークが中心で1日の大半をパソコンの前で過ごしています。
ある火曜日の午後4時。Aさんは朝からほとんど席を立つことなく、パソコンに向かい続けていました。気がつけば5時間以上、前かがみの姿勢のまま作業を続けています。肩や首はパンパンに張り、目の奥にも疲れを感じていました。ここ最近は帰宅も遅く、睡眠時間も十分に取れていません。
そんな中、午後を過ぎた頃から、頭の両側がじわじわと重くなるような違和感が現れ始めました。
「なんだか、頭が重い……」
痛みは徐々に強くなり、やがて頭全体をぎゅっと締め付けられるような感覚へと変わっていきます。まるで、きつい帯で頭を巻かれているような、あるいは頭の上に重石が乗っているような、鈍く持続する痛みでした。ただし、ズキズキと脈打つような痛みではありません。吐き気や嘔吐もなく、仕事を続けること自体は可能でした。
気分転換に席を立ち、1階のカフェまで階段で降りてみても、頭痛が悪化することはありません。むしろ少し体を動かしたことで、わずかに楽になったようにも感じました。席に戻り、ふと首の後ろに手を当ててみると、肩から後頭部にかけての筋肉が固くこわばり、押すと痛むポイントがあることに気づきました。
その後、頭痛は夕方にかけてゆっくりと強まりましたが、帰宅後に入浴し、市販の鎮痛薬を服用して早めに休んだところ、翌朝には少し楽になっていました。
*この症例は、緊張型頭痛に比較的典型的な経過を示した一例です。ただし、似た症状であっても、背景に別の疾患が隠れている場合があります。特に、突然の強い頭痛や、これまでに経験のない頭痛が出現した場合には、脳血管障害など重大な病気を除外することが重要です。自己判断せず、早めに医療機関へご相談ください。
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目次
- 緊張型頭痛の疫学と症状|「もっとも多い頭痛」の特徴とは
- 緊張型頭痛はなぜ起こる?|筋肉と脳の「痛みの過敏」が関係しています
- 緊張型頭痛の治療|「痛みを取る」+「繰り返さない」ことが大切です
- まとめ|「よくある頭痛」だからこそ、正しく理解することが大切です
- Q&A
- 参考文献
- 本記事の執筆者について
緊張型頭痛の疫学と症状|「もっとも多い頭痛」の特徴とは
緊張型頭痛は、日常診療で最もよくみられる頭痛のひとつです。「よくある頭痛」として見過ごされがちですが、繰り返すと生活の質に大きく影響することがあります。まずは、その頻度や症状の特徴を整理します。
緊張型頭痛は「最も頻度が高い頭痛」です
緊張型頭痛は、世界的にみても最も頻度の高い一次性頭痛とされています。一般人口の約20%、つまり5人に1人程度が経験するとされ、日本でも非常に身近な頭痛です。片頭痛などを含めても、最も多いタイプの頭痛として知られています。
誰にでも起こります
緊張型頭痛は小児から高齢者まで幅広い年齢でみられ、小児でも比較的よくみられる頭痛です。特定の人だけに起こる病気ではありません。
痛みの特徴|「締め付けられるような痛み」がポイントです
緊張型頭痛の痛みは、片頭痛のようなズキズキする拍動性の痛みではなく、頭を締め付けられるような、圧迫されるような鈍い痛みが特徴です。多くは左右両側に起こります。
患者様からは、
- 「頭を帯で締め付けられている感じ」
- 「ヘルメットをかぶっているような重さ」
- 「頭の上に重石が乗っている感じ」
と表現されることがよくあります。
痛みの強さと持続時間
痛みの強さは軽度から中等度であることが多く、日常生活が完全にできなくなるほどではないことが一般的です。一方で、数時間から数日続くことがあり、慢性化するとほぼ毎日のように症状が続くこともあります。
痛みの場所|「両側に広がる頭痛」が特徴です
痛みは片側ではなく両側に出ることが多く、額、こめかみ、後頭部などに広がります。特定の一点というより、「頭全体が重い」「なんとなく頭全体が痛い」と感じるような、拡散性の頭痛として訴えられることも少なくありません。典型的には両側性ですが、一部では片側に感じることもあります。
日常動作で悪化しないことも特徴です
緊張型頭痛は、歩行や階段の上り下りなどの日常動作で悪化しにくいのが特徴です。これは片頭痛との重要な違いのひとつです。
吐き気はない?随伴症状の特徴
緊張型頭痛では、吐き気や嘔吐は基本的にみられません。光や音が少し気になることはあっても、片頭痛ほど強くはないことが一般的です。「つらいけれど寝込むほどではない」という訴えが多くみられます。
首・肩のこりと深く関係しています
緊張型頭痛では、首や肩、側頭部、後頭部の筋肉に圧痛がみられることが多く、重要な身体所見のひとつです。長時間のデスクワーク、不良姿勢、精神的ストレスなどが重なることで筋肉の緊張が続き、頭痛につながります。
頻度によって3つのタイプに分かれます
緊張型頭痛は、発生頻度によって以下のように分類されます。
- 稀発反復性:月1日未満(年12日未満)
- 頻発反復性:月1〜14日(3か月以上)
- 慢性:月15日以上(3か月以上)
特に慢性型は生活の質を大きく低下させるため、適切な治療が重要です。
緊張型頭痛はなぜ起こる?|筋肉と脳の「痛みの過敏」が関係しています
緊張型頭痛は「肩こりが原因」と思われがちですが、実際にはそれだけではありません。首や肩の筋肉の緊張に加えて、脳や神経が痛みに敏感になることも関係していると考えられています。
まずは「筋肉のこり」から始まります(末梢のメカニズム)
比較的軽い反復性の緊張型頭痛では、首や肩、頭の筋肉の緊張が大きく関与します。長時間のデスクワーク、不良姿勢、精神的ストレスなどが続くと、筋肉が緊張したままとなり、押すと痛むポイントが現れます。
こうした状態では、筋肉内の血流が低下し、発痛物質が増え、ちょっとした刺激でも痛みとして感じやすくなります。
慢性化すると「脳が痛みに敏感」になります(中枢のメカニズム)
頭痛が頻繁に起こるようになると、問題は筋肉だけではなく、脳や神経の働きにも広がります。痛みを感じる神経系が過敏になり、本来なら気にならない刺激でも痛みとして感じやすくなります。
さらに、脳が持つ「痛みを抑える仕組み」が弱くなることも、慢性化に関与していると考えられています。
ストレス・姿勢・睡眠不足が重なると悪循環に
緊張型頭痛は、ストレス、姿勢の悪さ、睡眠不足といった日常的な要因が重なることで起こりやすくなります。これらが続くと、筋肉の緊張が強まり、痛みが出て、さらに脳が痛みに敏感になるという悪循環に陥ります。
また、自律神経のバランスの乱れも影響し、交感神経が優位な状態が続くと、筋肉の緊張や血流低下をさらに悪化させることがあります。
まとめ|緊張型頭痛は「筋肉+神経の過敏」で起こります
緊張型頭痛は、姿勢やストレスなどをきっかけに首や肩の筋肉が緊張し、その刺激が続くことで脳や神経が痛みに敏感になることで起こると考えられています。そのため、痛み止めだけでなく、姿勢・生活習慣・ストレス対策も重要です。
緊張型頭痛の治療|「痛みを取る」+「繰り返さない」ことが大切です
緊張型頭痛の治療では、頭痛が出たときに抑えることに加え、繰り返さないための工夫が大切です。頭痛の頻度や生活への影響に応じて、薬物療法と生活習慣の見直しを組み合わせていきます。
痛みが出たときの対処(急性期治療)
頭痛が出ているときには、アセトアミノフェンやNSAIDs(ロキソプロフェンなど)の鎮痛薬が有効です。ただし、胃への負担や副作用には注意が必要です。カフェインを含む薬剤が補助的に役立つ場合もあります。
注意:痛み止めを頻繁に使いすぎると、かえって頭痛が悪化する「薬物乱用頭痛(MOH)」につながることがあります。
なお、片頭痛で用いるトリプタンや、強い鎮痛薬であるオピオイドは、緊張型頭痛には一般的に適していません。
繰り返す場合の治療(予防療法)
頭痛が週に2回以上、あるいは月10〜15日以上と頻繁に起こる場合には、予防的な治療を検討します。症例によっては、筋肉の緊張を和らげる薬や、その他の予防的治療を用いることがあります。難治例では、筋肉のこりが強い部位への注射が役立つ場合もあります。
薬だけでは不十分|生活と体のケアが重要です
緊張型頭痛では、生活習慣や体の使い方の見直しが非常に重要です。
姿勢・体のケア
- 長時間同じ姿勢を避ける
- モニターの高さを調整する
- 首や肩のストレッチを行う
こうした対策だけで改善する方も少なくありません。
ストレス対策
- 深呼吸や入浴などのリラクゼーション
- 軽い運動
- 必要に応じた認知行動療法(CBT)
ストレスは頭痛の大きな引き金になります。
理学療法・補助療法
- マッサージ
- 運動療法
こうした方法が症状の緩和に役立つこともあります。
生活習慣の見直し
- 睡眠リズムを整える
- 水分をしっかりとる
- 食事を規則的にとる
日常の小さな習慣が、頭痛の起こりやすさに大きく影響します。
治療をうまく進めるためのポイント
頭痛日記をつける
いつ起きたか、どんな状況だったか、薬の効果はどうだったかを記録すると、頭痛のパターンや誘因が見えやすくなります。
睡眠やストレスも一緒に整える
不眠、不安、抑うつなどが背景にある場合は、それらへの対応も重要です。
「自分の頭痛タイプ」を知ることが大切です
緊張型頭痛と片頭痛では治療が異なります。自己判断せず、頭痛のタイプを適切に見極めることが重要です。
まとめ|「よくある頭痛」だからこそ、正しく理解することが大切です
緊張型頭痛は、誰にでも起こりうる身近な頭痛です。頭全体が締め付けられるように痛む、首や肩のこりと一緒に起こる、長時間のデスクワークやストレスで悪化しやすい、といった特徴があります。
一方で、単なる肩こりだけではなく、脳や神経の「痛みの感じやすさ」が関係していることもあり、放置すると慢性化して日常生活に影響することがあります。
治療では、痛みが出たときの対処だけでなく、薬に頼りすぎないこと、姿勢や生活習慣を整えることが大切です。
特に、
- 痛み止めだけで何とかしている状態
- ほぼ毎日のように頭痛がある状態
は、治療の見直しが必要なサインです。
また、頭痛の中には片頭痛、後頭神経痛、脳や血管の病気など、見分けが必要なものもあります。「いつもの頭痛」と思っていても、実は別の原因が隠れていることもあります。
このような場合は一度ご相談ください
- 頭痛が頻繁に起こる(週に2回以上、または月10日以上)
- 市販薬を使う回数が増えている
- これまでと違う頭痛が出てきた
- 症状が徐々に強くなっている
- 首や肩のこりが強く、頭痛と関連している
- 「本当にこの頭痛で大丈夫か」と不安がある
当院では、診察と神経学的検査による頭痛のタイプの見極め、必要に応じたMRIによる評価、投薬から生活習慣のご相談までを含めた診療を行っています。
「ただの肩こりだと思っていた」
「いつもの頭痛と少し違う気がする」
そう感じたときが、受診を考えるタイミングです。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
Q&A
緊張型頭痛は自然に治ることもありますか?
軽度の場合は、休息や入浴、ストレッチなどで自然に改善することもあります。特に一時的な疲労やストレスが原因の場合は、十分な休養で軽快しやすいです。ただし、頭痛を繰り返す場合や長く続く場合は、筋肉の緊張だけでなく神経の過敏状態が関与している可能性があり、適切な治療が必要になることもあります。
片頭痛との違いは何ですか?
緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような重い痛みが特徴で、ズキズキと脈打つ痛みではありません。吐き気や嘔吐を伴うことは少なく、日常動作で悪化しにくいのも特徴です。一方、片頭痛では片側にズキズキとした強い痛みが出たり、光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりすることがあります。
市販の痛み止めを使い続けても大丈夫ですか?
適切な範囲であれば問題ありませんが、頻繁に使いすぎると「薬物乱用頭痛(MOH)」につながり、かえって頭痛が悪化することがあります。目安として、使用回数が増えてきた場合は一度治療方針を見直したほうがよいでしょう。
肩こりが原因ですか?マッサージだけで治りますか?
首や肩の筋肉の緊張は重要な要因のひとつですが、それだけが原因とは限りません。慢性化した場合には、脳や神経の過敏状態も関与します。そのため、マッサージやストレッチで改善することはありますが、繰り返す場合は生活習慣の見直しや必要に応じた治療を含めて考えることが大切です。
どんなときに病院を受診すべきですか?
頭痛が頻繁に起こる、痛み止めの使用が増えている、これまでと違う頭痛が出てきた、症状が徐々に強くなっている、といった場合は一度受診をおすすめします。また、まれに脳や血管の病気が隠れていることもあるため、不安がある場合もご相談ください。
MRI検査は必要ですか?
典型的な緊張型頭痛であれば、必ずしもMRIが必要とは限りません。ただし、初めての頭痛、これまでと性状が異なる頭痛、しびれや麻痺などの神経症状を伴う場合には、脳や血管の病気を除外するためにMRIが重要になることがあります。
参考文献
- Steelquist J, Pham A, Vu K, Eapen BC. Assessment and Management of Tension-Type Headaches.
- Bravo-Vazquez A, Anarte-Lazo E, Gonzalez-Alvarez ME, Rodriguez-Blanco C, Bernal-Utrera C. Clinical features of manual therapy interventions in people with tension-type headache: A scoping review. Musculoskelet Sci Pract. 2026;82:103526.
- Kaniecki RG. Tension-Type Headache. In: standard neurology or headache reference text.
- Faraji F. Tension-type headache. In: Togha M, Jafari E, Mohammadianinejad SE, et al., editors. Headache and Migraine in Practice. New York: Academic Press; 2022. p. 75-83.
- 日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会, 訳. 国際頭痛分類 第3版. 東京: 医学書院; 2018.
- 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会, 編. 頭痛診療のガイドライン2021. 東京: 医学書院; 2021.
本記事の執筆者について
下高井戸脳神経外科クリニック院長 高橋 里史
本記事は、下高井戸脳神経外科クリニック院長であり、日本脳神経外科学会専門医・医学博士の高橋 里史が執筆しています。ガイドライン、国際的な総説論文、標準的教科書に基づき、専門的な内容を一般の方にもわかりやすく解説しています。


