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頭痛と吐き気の原因|危険な頭痛の見分け方

脳疾患の解説  / 頭痛

頭痛と吐き気の原因|危険な頭痛の見分け方

頭痛と吐き気が同時に起こる原因

頭痛と吐き気危険な頭痛の見分け方

本記事のイメージ画像は、生成AIを用いて制作したイメージです。特定の人物を示すものではありません。

「頭痛だけでもつらいのに、吐き気まである」
そんな症状が突然起こると、「脳の病気ではないか」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

頭痛と吐き気が同時に起こる症状にはいくつかのパターンがあります。
比較的よくみられるものから、注意が必要な病気まで原因はさまざまです。

頭痛に伴う吐き気は大きく分けると、次のような3つのメカニズムで起こることが知られています。

  • ・片頭痛などでみられる神経と自律神経の反応
  • ・脳腫瘍などでみられる頭蓋内圧の上昇
  • ・髄膜炎などの感染症や急性疾患

実際のところ幸いにも重大な病気ではないことも多いのですが、なかには症状からだけでは危険な頭痛かどうか判断が難しい場合もあります。
私たち医師でも、問診や診察に加えて必要に応じてMRIなどの画像検査や腰椎穿刺を行って初めて診断できる場合があります。

そのため、
「いつもと違う頭痛」「強い吐き気を伴う頭痛」「突然始まった強い頭痛」などの場合には、自己判断をされることなく医療機関へのご相談をご検討されることをおすすめします。

下高井戸脳神経外科クリニックのご予約はこちらから。

目次

危険な病気による頭痛と吐き気(二次性頭痛)

まず、頭痛と吐き気を引き起こす注意すべき疾患(いわゆる二次性頭痛)について解説します。

脳腫瘍

脳腫瘍では、腫瘍の増大に伴い

  • 脳浮腫
  • 水頭症
  • 腫瘍による圧迫

などが起こり、頭蓋内圧(頭蓋骨の中の圧力)が上昇することで頭痛や吐き気が生じることがあります。
特徴として

  • 朝方に頭痛が強くなる
  • 吐き気や嘔吐を伴う
  • 頭痛が徐々に悪化する

といった症状がみられることがあります。
ただし、症状だけで脳腫瘍を判断することは難しく、MRIなどの画像検査によって初めて診断できることが多い疾患です。

くも膜下出血・下垂体卒中

突然発症する激しい頭痛(雷鳴頭痛)と吐き気を伴う場合は、緊急性の高い病気の可能性があります。
代表的なものとして

  • くも膜下出血
  • 下垂体卒中

があります。
これらの病気では

  • 突然の非常に強い頭痛
  • 吐き気・嘔吐
  • 視力や視野の異常
  • 意識障害

などが出現することがあります。
特に「今まで経験したことがないほど強い頭痛」の場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。

髄膜炎・脳炎などの感染症

髄膜炎や脳炎などの頭蓋内感染症でも、頭痛と吐き気が同時に起こることがあります。
髄膜炎では頭痛、発熱、項部硬直、意識変容、悪心・嘔吐などがみられる
ことが多く、これらは感染症を疑う重要な手がかりとされています。

また、

  • 首を前に曲げると痛い
  • 強い倦怠感
  • 意識がぼんやりする

などの症状がみられることもあります。

急性閉塞隅角緑内障

頭痛と吐き気の原因は、必ずしも脳の病気とは限りません。
代表的なものとして、急性閉塞隅角緑内障があります。
これは眼圧(眼の中の圧力)が急激に上昇する病気で、

  • 目の強い痛み
  • 目の周囲の頭痛
  • 視力低下
  • 結膜充血

などとともに、悪心や嘔吐を伴うことがあります。
この場合は眼科での緊急治療が必要となることがあります。

一次性頭痛(片頭痛など)による吐き気・嘔吐

片頭痛などの一次性頭痛による吐き気・嘔吐

頭痛と吐き気が同時に起こる原因として、最も多いのが片頭痛などの一次性頭痛です。
一次性頭痛とは、脳腫瘍や感染症などの明らかな病気が原因ではなく、頭痛そのものが主な症状として起こる頭痛を指します。
その代表が片頭痛です。

片頭痛と吐き気のメカニズム
片頭痛では、頭痛だけでなく

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 光や音への過敏

といった症状を伴うことがよくあります。
片頭痛のメカニズムを説明する理論として、「三叉神経血管説」が広く知られています。
頭痛発作の際、脳の表面の血管に分布する三叉神経が刺激され、その信号が三叉神経核へ伝わります。
さらにこの刺激が脳幹のさまざまな神経核へ伝達されることで、自律神経が刺激され、悪心や嘔吐といった症状が起こると考えられています。
つまり、頭痛と吐き気は別々の症状ではなく、同じ神経ネットワークの反応として同時に起こると考えられているのです。

群発頭痛でも吐き気が起こることがある

一次性頭痛の中には、群発頭痛というタイプの頭痛もあります。
群発頭痛は

  • 目の奥や側頭部に起こる非常に強い痛み
  • 決まった時間帯に発作が起こる

といった特徴を持つ頭痛ですが、一部の患者様では吐き気や嘔吐など片頭痛様の随伴症状を伴うことがあります。
ただし、群発頭痛では

  • 目の充血
  • 涙が出る
  • 鼻水が出る

といった症状が目立つことも多く、片頭痛とはやや異なる特徴があります。

頭痛と吐き気があるときの受診の目安(レッドフラッグ)

頭痛と吐き気が同時に起こる場合、多くは片頭痛などの一次性頭痛によるものですが、まれに生命に関わる病気(二次性頭痛)が原因となることがあります。
そのため、危険な頭痛を見逃さないための警告サインとして、SNNOOP10リストと呼ばれるチェック項目が提唱されています。

頭痛と吐き気に加えて、次のような特徴がある場合は、早めに医療機関を受診する目安(レッドフラッグ)となります。

1.頭痛の起こり方や変化に関するレッドフラッグ

〇突然発症する激しい頭痛(雷鳴頭痛)
痛みが始まって1分未満でピークに達するような激しい頭痛は注意が必要です。
このような頭痛は
くも膜下出血
可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)
下垂体卒中
などの病気でみられることがあります。
「今まで経験したことがないほどの頭痛」と感じる場合は、早急な受診が必要です。

〇65歳以降で初めて起こった頭痛
高齢で新たに出現した頭痛は注意が必要です。
SNNOOP10原著では65歳超が例示されていますが、実臨床では50歳以上の新規頭痛も要注意とされます。

〇徐々に悪化していく頭痛・いつもと違う頭痛
日に日に痛みが強くなる
頭痛の頻度が増えている
これまで経験している頭痛と明らかに性質が違う
といった場合も、脳腫瘍などの頭蓋内疾患が隠れている可能性があります。

〇姿勢や動作で変化する頭痛
咳やくしゃみで悪化する、運動で誘発される、姿勢によって痛みが変わる頭痛では、
低髄液圧、頭蓋内圧の異常、Chiari奇形、後頭蓋窩病変
などが関係していることがあります。

2.頭痛に伴う症状に関するレッドフラッグ

〇発熱などの全身症状を伴う
頭痛や吐き気に加えて
発熱
首の後ろが硬くなる(項部硬直)
強い倦怠感
などがある場合は、髄膜炎や脳炎などの感染症が疑われます。

〇神経症状や意識の低下を伴う
頭痛と吐き気に加えて
手足の麻痺
しびれ
言葉が出にくい
ふらつく
意識がぼんやりする
といった症状がある場合は、
脳卒中(脳出血・脳梗塞)
脳腫瘍
などの可能性があります。

〇眼の痛みや視覚異常を伴う
吐き気とともに
強い眼の痛み
目の充血
視力低下
視野の欠損
などがある場合は
急性閉塞隅角緑内障
下垂体卒中
などの可能性があります。
急性閉塞隅角緑内障は放置すると失明の危険がある病気です。

〇乳頭浮腫
乳頭浮腫(うっ血乳頭)は、眼底検査で分かる頭蓋内圧亢進のサインです。
医療機関で指摘された場合は、精密な評価が必要になることがあります。

3.患者様の背景に関するレッドフラッグ

次のような背景がある場合も、二次性頭痛の可能性が高くなるため注意が必要です。

〇がん(新生物)の既往がある
〇妊娠中または出産直後(産褥期)
〇頭部外傷のあとに起こった頭痛
〇HIVなど免疫系の病気がある
〇鎮痛薬の使い過ぎ、または新規薬剤開始と頭痛出現の関連

レッドフラッグがある場合は早めのご受診をご検討ください。
これらのレッドフラッグに当てはまる症状がある場合には、脳や血管に重大な病気が隠れている可能性があります。

Q&A

頭痛と吐き気があるとき、すぐに脳の病気を疑うべきですか?

必ずしもそうではありません。
頭痛と吐き気が同時に起こる原因として最も多いのは、片頭痛などの一次性頭痛です。
一方で、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎、急性閉塞隅角緑内障など、早急な対応が必要な病気でも同じような症状がみられることがあります。
そのため、「いつもの頭痛と同じかどうか」、「突然の強い痛みではないか」、「発熱や麻痺、視力異常を伴わないか」といった点が重要になります。ご心配な際には自己判断をされることなく、医療機関へご相談ください。

片頭痛でも吐いてしまうことはありますか?

あります。片頭痛では吐き気や嘔吐はよくみられる症状です。
片頭痛は単なる「血管の頭痛」ではなく、神経や自律神経の反応を伴う頭痛です。
そのため、頭の痛みだけでなく、吐き気、嘔吐、光や音への過敏が一緒に起こることがあります。
「頭痛が強いと気持ち悪くなる」のではなく、頭痛と吐き気が同じ発作の一部として起こっていると考えられています。

どのような頭痛ならすぐに受診したほうがよいですか?

次のような症状がある場合は、早めの受診が大切です。
• 突然発症した非常に強い頭痛
• これまで経験したことがない頭痛
• 発熱、首の硬さを伴う
• 手足のしびれや麻痺、ろれつの回りにくさがある
• 意識がぼんやりする
• 目の強い痛みや視力低下を伴う
• 妊娠中・産後に起こった強い頭痛
• 頭をぶつけたあとに出てきた頭痛
このような場合は、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関に相談することをご検討ください。

頭痛と吐き気があるとき、市販薬を飲んで様子を見てもよいですか?

いつもの片頭痛に近い症状で、危険なサインがなければ市販薬が役立つこともあります。
ただし、市販薬で一時的に楽になっても、重大な病気が完全に否定できるわけではありません。
特に、
• 痛みがいつもより強い
• 薬が効かない
• 吐いてしまって薬が飲めない
• 同じことを何度も繰り返す
といった場合には、受診を検討したほうが安心です。
また、痛み止めの使い過ぎは薬剤使用過多による頭痛につながることがあるため注意が必要です。

朝に頭痛と吐き気が強いのは危険ですか?

朝方の頭痛が必ず危険というわけではありませんが、注意したいパターンです。
脳腫瘍などで頭蓋内圧が高くなると、朝に頭痛や吐き気が強くなることがあります。
一方で、片頭痛や睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群などでも朝の頭痛がみられることがあります。
朝の頭痛が続く、徐々に悪化する、嘔吐を伴う、神経症状がある場合は、画像検査を含めた評価が勧められます。

頭痛と吐き気があるのにMRIで異常がなければ安心ですか?

多くの場合は安心材料になりますが、それだけで全てが終わりとは限りません。
MRIで脳腫瘍や脳出血などの重大な異常が見つからないことは大きな安心につながります。
ただし、頭痛の原因によっては、MRIだけでは診断がつかないこともあります。
たとえば、
• 片頭痛
• 群発頭痛
• 髄膜炎の一部
• 急性閉塞隅角緑内障
• 一部の脳血管障害の初期
などは、症状や診察、必要に応じた追加検査をあわせて判断することがあります。
検査結果だけでなく、症状の経過も大切です。

吐き気がある頭痛は、内科ではなく脳神経外科を受診したほうがよいですか?

判断に迷う場合は、まず医療機関に相談することが大切です。
頭痛と吐き気の原因は、片頭痛のような頭痛そのものの病気だけでなく、脳、眼、耳鼻科領域、全身の感染症などさまざまです。
特に、
• 突然の強い頭痛
• 手足のしびれや麻痺
• 意識障害
• 視力低下
• これまでにない頭痛
がある場合は、脳や血管の病気を念頭に脳神経外科での評価が有用です。
一方で、目の痛みや充血が強い場合は眼科、発熱が目立つ場合は内科的評価が必要になることもあります。

参考文献

【レッドフラッグ(SNNOOP10)に関する文献】
1. Do TP, Remmers A, Schytz HW, et al. Red and orange flags for secondary headaches in clinical practice: SNNOOP10 list. Neurology. 2019;92(3):134-144.

【頭痛の分類・診断・対処法に関するガイドライン】
2. Headache Classification Committee of the International Headache Society (IHS). The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition. Cephalalgia. 2018;38(1):1-211.
3. 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会, 編. 頭痛の診療ガイドライン2021. 東京: 医学書院; 2021.

【片頭痛のメカニズム(三叉神経血管説など)に関する文献】
4. Goadsby PJ, Holland PR, Martins-Oliveira M, et al. Pathophysiology of migraine: a disorder of sensory processing. Physiol Rev. 2017;97:553-622.

【雷鳴頭痛およびくも膜下出血などの二次性頭痛に関する文献】
5. Schwedt TJ, Matharu MS, Dodick DW. Thunderclap headache. Lancet Neurol. 2006;5(7):621-631.
6. van Gijn J, Kerr RS, Rinkel GJ. Subarachnoid haemorrhage. Lancet. 2007;369(9558):306-318.
7. da Motta LA, de Mello PA, de Lacerda CM, et al. Pituitary apoplexy. Clinical course, endocrine evaluations and treatment analysis. J Neurosurg Sci. 1999;43(1):25-36.

本記事の執筆者について

本記事は、下高井戸脳神経外科クリニック院長であり、日本脳神経外科学会専門医・医学博士の 髙橋 里史 が執筆しています。
ガイドラインをはじめ、国際的な総説論文・標準的教科書に基づき、専門的な内容を一般の方にも分かりやすく整理しています。

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