頭痛・めまいと漢方薬 ④
頭痛・めまいと漢方薬
―④ 脳神経外科医が漢方を使う理由
―
下高井戸脳神経外科クリニック

はじめに
本記事は、「頭痛・めまいと漢方薬」シリーズの最終回です。
• 第1回:日本で発展した漢方の歴史と、知っておきたい使い方
• 第2回:天気で悪化する頭痛に漢方は効く?
• 第3回:「検査は異常なし」と言われためまいに
• 第4回:脳神経外科医が漢方を使う理由(本記事)
ここまでの記事でお伝えしてきたように、
漢方薬は「西洋薬で治らなかった人のための最後の手段」ではありません。
脳神経外科診療の中で、
病態を正しく評価したうえで選択される、科学的根拠を持った治療戦略の一つ
として位置づけられています。
本記事では、
• なぜ脳神経外科医が漢方を使うのか
• どのような症状に向いているのか
• 外傷後症状やしびれにも使われる理由
を総括します。
目次
- 脳神経外科外来で扱う症状は「白黒つかない」ことも少なくありません
- 漢方薬が向いている症状の共通点
- 外傷後症状と漢方
- しびれに対する漢方
- 漢方薬の抗酸化作用について
- 頭痛・めまいと漢方薬のまとめ
- Q and A
- 受診をご検討の方へ
- 参考文献
- 本記事の執筆者について
脳神経外科外来で扱う症状は「白黒つかない」ことも少なくありません
脳神経外科は、
• 脳出血
• 脳梗塞
• 脳腫瘍
といった明確な器質的疾患を扱うことが多い診療科です。
しかし、実際のクリニックでの脳神経外科外来では、
• 頭痛
• めまい
• しびれ
• 外傷後の違和感
といった、
画像検査では説明しきれない症状でご相談いただく機会がとても多いです。
MRIで「異常なし」と判断できた後も、
• 症状は続いている
• 生活の質が低下している
• 西洋薬が合わない
という患者さんに対して、
次の一手として漢方薬が役立つ場面があります。
漢方薬が向いている症状の共通点
脳神経外科領域で漢方薬が有用となりやすい症状には、共通点があります。
• 症状が日によって変動する
• 天候・疲労・ストレスで悪化する
• 冷え・むくみ・胃腸不調を伴う
• 明確な器質疾患は否定されている
これらは、西洋医学的には「機能性」「自律神経性」と表現されることが多く、
漢方医学では体全体のバランスの乱れとして捉えられます。
外傷後症状と漢方
― 打撲・皮下出血・違和感に対する漢方の考え方 ―
頭部や顔面をぶつけた後に、
• 青あざがなかなか引かない
• 腫れや痛みが続く
• 画像では異常がないのに違和感が残る
といった症状でお困りの方は少なくありません。
CTやMRIで頭蓋内に出血や骨折がないことを確認できた後でも、
皮下や軟部組織レベルでは「出血」や「炎症」が残っていることがあります。
漢方医学では、このような状態を
「瘀血(おけつ)」=血液が滞った状態
として捉えます。
外傷後症状に対する漢方治療は、
この瘀血を改善し、血流を整え、治癒を促進することを目的に行われます。
外傷直後・急性期の腫れと痛みに
治打撲一方(じだぼくいっぽう)
治打撲一方は、打撲による腫れや痛みに特化した代表的な処方です。
事故や転倒、スポーツ外傷など、
「ぶつけた直後〜数日以内」の急性期に選択されることが多い漢方薬です。
この薬は、
患部に停滞した血液(瘀血)を速やかに取り除き、
血流を改善することで、腫れや炎症を鎮める作用を持ちます。
構成生薬の中には、
大黄(ダイオウ)が含まれており、
体内に滞った不要なものを排出する働きを担っています。
そのため、
• 腫れを早く引かせたい
• 痛みを短期間で軽減したい
といった場面では、非常に理にかなった処方です。
一方で、大黄の作用により軟便や下痢が出やすい方もいます。
また、甘草(カンゾウ)を1日量1.5g含むため、
他の甘草含有漢方薬を併用している場合には注意が必要です。
治打撲一方は妊娠中に特に避けるべき漢方薬です。
時間が経っても残るアザや血行不良に
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸は、
「駆瘀血剤(くおけつざい)」の代表的な処方として知られています。
打撲症の適応もあり、
特に以下のようなケースで選ばれます。
• 外傷からしばらく経過している
• アザの色がなかなか消えない
• もともと血行が悪い体質
• 比較的体力があり、のぼせや肩こりを伴う
桂枝茯苓丸は、
血流を促進し、組織内に残った古い血液の吸収を助けることで、
皮下出血の改善を図ります。
治打撲一方との大きな違いは、
• 大黄を含まない
• 甘草を含まない
という点です。
そのため、
• 下痢を起こしにくい
• 甘草の重複を気にせず、他の漢方薬と併用しやすい
という利点があります。
治打撲一方と桂枝茯苓丸の使い分け
治打撲一方と桂枝茯苓丸は、
どちらも外傷後の「瘀血」を改善する漢方薬ですが、
使うタイミングと目的が異なります。
• 今まさに腫れて痛い急性期
→ 治打撲一方
• 時間が経っても残るアザや血行不良
→ 桂枝茯苓丸
例えるなら、
治打撲一方は「事故直後の現場でガレキを一気に撤去する重機」、
桂枝茯苓丸は「道路全体の流れを整える交通整理」のような役割です。
しびれに対する漢方
― 神経・血流・体質から考える漢方治療 ―
「手足がしびれる」「ピリピリする」「冷たい感じが抜けない」
しびれは、脳神経外科外来でご相談いただく中で比較的多い症状の一つです。
MRIや神経学的診察で、
• 脳や脊髄の病変
• 明らかな神経圧迫
が否定された後も、
違和感としてのしびれが長く残ることは少なくありません。
漢方医学では、しびれを単なる神経のトラブルとしてではなく、
• 末梢神経の機能低下
• 血流不全
• 冷えや水分代謝の乱れ
といった、体全体のバランスの問題として捉えます。
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しびれ治療の中心となる漢方
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
しびれに対して、
最も明確な適応とエビデンスを持つ漢方薬が
牛車腎気丸(ツムラ107番)です。
牛車腎気丸は、
• 疲れやすい
• 手足が冷えやすい
• 下半身の力が入りにくい
• 夜間頻尿や排尿トラブルがある
といった特徴を持つ方のしびれ・下肢痛・腰痛に用いられます。
✅糖尿病性神経障害への効果
糖尿病に伴う末梢神経障害では、
• しびれ
• 冷感
• 感覚鈍麻
といった症状が問題になります。
牛車腎気丸は、
これらの主観的症状を改善するだけでなく、
振動覚閾値などの客観的指標でも改善が確認された報告があり、
しびれ治療の選択肢として広く用いられています。
✅抗がん剤治療後のしびれ(CIPN)
近年では、
• パクリタキセル
• オキサリプラチン
などの抗がん剤による
化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)に対しても、
牛車腎気丸が、
• しびれ
• 痛み
• 冷感への過敏
を抑制する可能性が示されています。
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✅しびれを改善する仕組み
― なぜ牛車腎気丸が効くのか ―
牛車腎気丸の作用は、
「なんとなく効く」ものではなく、
現代医学的にも説明が進んでいます。
① 冷感・しびれセンサーへの作用
牛車腎気丸は、
• TRPA1
• TRPM8
と呼ばれる、
冷たさや刺激を感知する神経センサーの過剰な反応を抑えることで、
しびれや冷感過敏を改善すると考えられています。
② 末梢血流の改善
服用により、
• 皮膚血流量の増加
• 皮膚表面温度の上昇
が確認されており、
神経周囲の環境を整える効果が期待されます。
③ 神経保護作用
神経障害に関与する
アルドース還元酵素を抑制する成分が含まれており、
神経そのものを守る方向に働く可能性が示唆されています。
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✅牛車腎気丸服用上の注意点
牛車腎気丸には、附子(ブシ)が含まれています。
そのため、
• のぼせやすい
• 赤ら顔
• 体力が非常に充実している
といった方では、
• 動悸
• のぼせ
• 舌のしびれ感
などが出ることがあります。
また、胃腸が弱い方では、
食欲不振や胃部不快感を感じることもあります。
高齢者では減量が基本です。
日本では、
西洋薬(ビタミン剤・鎮痛薬など)と漢方薬を
医師の判断で併用できるため、
症状や体質に応じた柔軟な治療が可能です。
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✅本章のまとめ:しびれに対する漢方の考え方
しびれに対する漢方治療は、
神経の興奮を抑えるだけでなく、
• 血流
• 水分代謝
• 体力・冷え
といった体全体の環境を整える治療です。
例えるなら、
しびれの治療は「流れの悪くなった川の掃除」のようなものです。
水(血流や体液)が滞り、冷え、
神経という岸辺が荒れてしまった状態に対し、
漢方薬は川の流れを整え、温め、
神経が本来の働きを取り戻せる環境をつくっていきます。
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漢方が目指す「未病」の治療
漢方医学の古典『黄帝内経』では、
髄海が不足すると、
めまい、耳鳴りとともに
四肢の痛みやしびれが生じる
と記されています。
漢方治療の特徴は、
• しびれだけを見るのではなく
• 体力の低下(虚証)
• 冷え
• 水分代謝の偏り
といった背景ごと整える点にあります。
これは、症状が完成する前段階、
いわゆる「未病」の状態から介入するという考え方でもあります。
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漢方薬の抗酸化作用について
― 「未病」を支える、漢方治療の土台 ―
漢方治療の特徴の一つに、
「病気になる前の状態(未病)」を整えるという考え方があります。
頭痛、めまい、しびれといった症状も、
• 画像検査では異常がない
• しかし、体は確実に不調を訴えている
という「未病」の段階で受診されることが少なくありません。
近年、この未病の背景にある重要な要素として
「酸化ストレス」が注目されています。
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✅酸化ストレスと未病の関係
私たちの体は、
• 身体的ストレス
• 精神的ストレス
• 加齢
• 慢性的な炎症
などにより、
活性酸素(ROS)や活性窒素(RNS)を過剰に産生します。
これらは本来、生体防御に必要なものですが、
過剰になると、
• 細胞膜
• ミトコンドリア
• DNA
を傷つけ、
慢性的な不調や機能低下につながります。
漢方医学では、このような状態を
「病気ではないが、健康とも言い切れない」
未病の重要な病態として捉えてきました。
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✅漢方薬がもともと持つ抗酸化という性質
漢方薬は、
1つの有効成分ではなく、
複数の生薬を組み合わせた処方です。
それぞれの生薬には、
• ポリフェノール
• フラボノイド
• フェノール酸
といった、
抗酸化作用を持つ天然成分が豊富に含まれています。
そのため、
抗酸化作用は漢方薬の「付加的な効果」ではなく、
治療の土台となる基本的な働きといえます。
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✅多成分で働く漢方ならではの強み
西洋薬が
「1つの標的を1つの成分で狙う」治療であるのに対し、
漢方薬は、
• 直接、活性酸素を消去する
• 体内の抗酸化酵素(SOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ)を誘導する
といった、
複数のルートから防御システムを強化します。
さらに、
異なる生薬が組み合わさることで、
• 細胞内
• 細胞膜
• 血管内皮
など、
それぞれ異なる「現場」で酸化ストレスに対応できるため、
単一成分よりも安定した防御効果が期待されます。
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✅抗酸化作用が注目される主な領域と処方
脳・神経系への保護
脳はエネルギー消費が多く、
抗酸化酵素が比較的少ないため、
酸化ストレスに弱い臓器です。
• 生脈散:
脳の酸化損傷を抑え、記憶・運動機能低下を防ぐ可能性が報告されています。
• 五苓散:
脳浮腫に関与するアクアポリン(AQP4)への作用とともに、
酸化ストレスとの関連が研究されています。
感覚器の保護
• 半夏瀉心湯:
強い抗酸化作用を持ち、
薬剤による内耳毛細胞障害を抑制したという報告があります。
内臓・血管系の保護
• 当帰芍薬散:
脂質の過酸化を抑制し、血管・臓器保護に寄与します。
• 七物降下湯:
抗酸化活性と毛細血管網の維持を通じて、
慢性腎臓病や高血圧への保護効果が示唆されています。
抗酸化能が高い処方の例
• 呉茱萸湯:
抗酸化ポテンシャルを示すとの報告があります。
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✅脳神経外科医の視点から
頭痛、めまい、しびれといった症状は、
「突然起こる病気」ではなく、
長年の負荷の積み重ねとして表面化することが多くあります。
漢方薬の抗酸化作用は、
症状を一時的に抑えるためのものではなく、
• 病気の芽を育てない
• 体の防御力そのものを底上げする
という、
長期的な健康維持の土台となる治療です。
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✅本章のまとめ:漢方の抗酸化作用とは何か
漢方薬の抗酸化作用は、
単なる「成分の性質」ではありません。
それは、
未病を治し、病気の進行を防ぐための基盤です。
例えるなら、
漢方薬による抗酸化治療は、
川の水位を日々観測し、少しずつ放流量を調整するダム管理のようなものです。
大雨による氾濫(明確な病気)が起これば、
西洋医学は緊急放流や堤防補強で一気に被害を食い止めます。
一方、漢方は水位が危険域に達する前から流れを整え、
氾濫そのものが起こりにくい環境をつくり続けます。
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頭痛・めまいと漢方薬のまとめ
本シリーズでは、「頭痛・めまいと漢方薬」をテーマに、
漢方治療を下高井戸脳神経外科クリニックの診療の中でどう捉えているのかをお伝えしてきました。
改めて強調したいのは、
漢方薬は「最後の手段」でも「代替医療」でもないという点です。
漢方は、
西洋医学的評価を十分に行ったうえで選択される、
科学的根拠を持った治療戦略の一つであると考えています。
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① 漢方は「日本で育った医学」である
第1回では、
漢方医学が中国医学を基盤としながらも、
日本の風土・体質・臨床現場の中で独自に発展してきた医学であることを解説しました。
現代日本の漢方は、
• エキス製剤として品質が均一
• 医師が西洋薬と併用できる
• 保険診療の中で使える
という点で、
世界的にも特殊で恵まれた医療環境にあります。
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② 天気やストレスで悪化する頭痛に漢方は向いている
第2回では、
天候変化や疲労、ストレスで増悪する頭痛に対し、
漢方が有効となる理由を説明しました。
これらの頭痛は、
• 自律神経の乱れ
• 水分代謝の偏り
• 血流変動
と深く関係しており、
単純な鎮痛薬だけでは十分にコントロールできないことがあります。
漢方は、
「痛みそのもの」だけでなく、
痛みを引き起こす体内環境に働きかける治療です。
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③ 「検査は異常なし」と言われためまいに対して
第3回では、
MRIなどで明らかな異常がないにもかかわらず続くめまいについて解説しました。
このようなめまいでは、
• 前庭機能の不調
• 自律神経のアンバランス
• 心身の緊張状態
が複雑に関与していることが多く、
漢方は症状の揺らぎや背景要因を同時に整える点で有用です。
「異常がない=治療できない」ではありません。
治療の選択肢は、検査結果だけで決まるものではないのです。
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④ 外傷後症状・しびれ・未病に対する漢方の役割
最終回では、
外傷後の違和感や皮下出血、しびれ、
さらには抗酸化作用による未病へのアプローチまでを総括しました。
漢方治療は、
• 瘀血(血の滞り)を改善する
• 末梢神経や血流環境を整える
• 酸化ストレスを抑え、防御力を高める
といった多面的な作用を持ちます。
これは、
「症状が完成してから治す」のではなく、
不調が積み重なる過程そのものに介入する治療です。
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脳神経外科クリニックである下高井戸脳神経外科クリニックが漢方を使う理由
脳神経外科医として、
私たちはまず、
• 命に関わる病変がないか
• 手術や緊急治療が必要ではないか
を徹底的に評価します。
そのうえで、
• 画像では説明できない症状
• しかし、生活の質を確実に下げている不調
に対し、
漢方薬という選択肢を持っていることは大きな強みです。
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漢方と西洋医学は「対立」ではない
本シリーズを通じてお伝えしたかったのは、
漢方と西洋医学は競合するものではなく、補完し合う存在であるという点です。
まさに「対立する二つの要素をどちらかに寄せるのではなく、両方を活かして新しい関係を築く」という下高井戸脳神経外科クリニックが大切にしている「共生の思想」
を体現する関係であると考えます。
• 急性期・重症例には西洋医学
• 機能性・慢性症状には漢方
という単純な二分論ではなく、
同じ患者さんの中で、同時に使い分ける医療が有効であると考えています。
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おわりに:漢方は「治す医療」と「支える医療」
頭痛、めまい、しびれは、
命に直結しないことも多い一方で、
日常生活の質を大きく左右する症状です。
漢方薬は、
• 症状を和らげ
• 体のバランスを整え
• 再発しにくい状態をつくる
という意味で、
治す医療であり、支える医療でもあります。
「検査で異常はないけれど、つらい」
そのような症状でお悩みの方にとって、
漢方が新たな選択肢となれば幸いです。
Q and A
漢方薬は「効く人」と「効かない人」がいるのですか?
はい。「体質や病態との相性」が大きく影響すると考えられています。
漢方薬は、症状だけでなく
• 体力
• 冷えやすさ
• 胃腸の強さ
• 症状の出方(波があるか、一定か)
といった全体像を見て選びます。
適切な処方が選ばれた場合には効果を実感しやすく、
逆に合っていない場合は効果が乏しいこともあります。
漢方薬はどのくらいで効果が出ますか?
症状や処方によって異なりますが、早い方では数日〜1週間で変化を感じます。
外傷後の腫れや痛みなどでは、比較的早期に効果を実感することがあります。
一方、めまいやしびれ、慢性的な頭痛では、
2〜4週間ほどかけて徐々に改善していくケースが多いです。
「即効性」と「体質改善」の両方を意識して考えると理解しやすいでしょう。
漢方薬は長く飲み続けても大丈夫ですか?
医師の管理下であれば、比較的安全に長期使用が可能です。
漢方薬は、長期使用を前提に作られた処方も多くあります。
ただし、
• 甘草を含む処方
• 附子を含む処方
などでは、
定期的に体調や副作用の有無を確認することが重要です。
症状が落ち着いた段階で、
減量や中止を検討することも含めて調整します。
西洋薬(鎮痛薬・めまい止め)と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
多くの場合、併用可能です。
日本の医療制度では、
医師が判断したうえで
西洋薬と漢方薬を同時に処方することが可能です。
例えば、
• 急性期は鎮痛薬
• 体質調整として漢方
という使い分けもよく行われます。
ただし、甘草の重複など注意点もあるため、
必ず服用中の薬は医師にお伝えください。
「検査で異常なし」と言われためまい・しびれにも漢方は効きますか?
そのような症状こそ、漢方が役立つ場面があります。
MRIなどで重大な病変が否定されたあとも、
• めまいが続く
• しびれが取れない
• 体調の波が大きい
といったケースは少なくありません。
漢方は、
自律神経や血流、水分バランスといった“見えにくい不調”に働きかけるため、
こうした症状に適していることがあります。
漢方薬は「体にやさしい=副作用がない」と考えてよいですか?
いいえ。漢方薬にも副作用はあります。
漢方薬は天然由来ですが、
医薬品である以上、副作用の可能性はあります。
• 甘草によるむくみや血圧上昇
• 附子による動悸やのぼせ
• 胃腸症状
などが代表的です。
そのため、「自然だから安全」と過信せず、医師の管理下で使用することが大切です。
漢方薬は「一生飲み続ける薬」になるのでしょうか?
多くの場合、必要な期間だけ使用します。
漢方治療の目的は、
• 症状を抑えること
• 体のバランスを整えること
です。
状態が安定すれば、
• 減量
• 中止
• 必要時のみの使用
へ移行することも可能です。
「ずっと飲み続けなければならない薬」ではありません。
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下高井戸脳神経外科クリニックは、東京都杉並区・世田谷区・渋谷区西部を中心に、京王線(下高井戸・明大前・桜上水・千歳烏山・上北沢・八幡山・芦花公園・笹塚・代田橋)、京王新線(幡ヶ谷・初台)、東急世田谷線(松原・山下・宮の坂)、小田急線沿線(代々木上原・東北沢・下北沢・世田谷代田・梅ヶ丘・豪徳寺)、渋谷区西部(上原・大山町・西原・本町)から通院しやすい立地にある脳神経外科専門クリニックです。
頭痛・めまい・しびれ・脳梗塞後の経過観察などを中心に、日本脳神経外科学会専門医である院長が、診察から検査結果の説明まで一貫して対応しています。
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参考文献
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• 22. ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 23. ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 24. ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 25. ツムラ半夏白朮天麻湯エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 26. ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 27. ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 28. ツムラ治打撲一方エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 29. ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒(医療用)添付文書.
• 30. ツムラ加味帰脾湯エキス顆粒(医療用)添付文書.
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本記事の執筆者について
本記事の執筆者について
本記事は、下高井戸脳神経外科クリニック院長であり、
日本脳神経外科学会専門医・医学博士の 髙橋 里史 が執筆しています。
国際的な総説論文・標準的教科書に基づき、
専門的な内容を一般の方にも分かりやすく整理しています。


