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頭部外傷について

頭部外傷について

頭部外傷は、年齢や受傷の状況によって症状や対応が大きく異なります。特にスポーツ活動に伴う外傷、高齢者の転倒、小児の事故などでは、それぞれに特有のリスクと管理のポイントがあります。
このページでは、「スポーツ頭部外傷」「高齢者頭部外傷」「小児頭部外傷」の3つのカテゴリーに分けて、症状の特徴や治療・予防に関する基本的な知識をご紹介します。
頭部外傷の評価には一般的にCT検査が用いられますが、当院にはCTを設置しておりません。そのため、状況により代替可能な場合にはMRIなどの検査をご案内しております。

 

スポーツ頭部外傷

スポーツ頭部外傷アメリカンフットボールやラグビーなどのコンタクトスポーツでは、頭部への衝撃による脳震盪や脳出血などのリスクがあり、選手の安全を守るために出場停止や復帰のガイドラインが定められています。

出場停止の目安

  • 意識消失(一瞬でも)
  • めまいや平衡感覚の異常
  • 記憶障害(受傷前後の記憶が欠落)
  • 頭痛の持続
  • 視覚異常

上記のいずれかが認められた場合は、速やかに競技を中止し、医療機関を受診する必要があります。

競技復帰のプロトコル

頭部外傷からの復帰にあたっては、段階的な運動負荷の増加を伴う復帰プロトコル(Return to Play)に沿って慎重に進めることが重要です。
いきなり競技に復帰するのではなく、安静期間を経た後に軽度の運動から開始し、非接触トレーニング → 接触を伴う練習 → 競技復帰へと段階的に移行することで、症状の再発や悪化を防ぐことができます。
復帰の各段階では、体調や症状の変化に十分注意を払いながら、無理のない慎重な対応が求められます。

高齢者の頭部外傷

高齢者の頭部外傷高齢者は転倒や軽微な外傷でも頭蓋内出血を起こしやすく、特に「急性硬膜下血腫」と「慢性硬膜下血腫」が重要です。

急性硬膜下血腫

  • 多くは受傷直後から1日以内に発症
  • 頭痛、嘔吐、意識障害などの症状
  • 脳表面の血管損傷により急速に進行
  • "talk and deteriorate"(話しながら具合が悪くなる)と表現される意識障害

慢性硬膜下血腫

  • 受傷から発症までに3週間〜数か月を要することも
  • 軽度の片麻痺、認知機能の低下、日増しに増悪する頭痛(後頭部が多い)など
  • 転倒など軽微な外傷でも発症する可能性あり
  • 治療は穿頭血腫ドレナージ術が主で、再発率はおよそ10%
  • 無症候の場合は内服で経過を見ることも
  • 非外傷性の慢性硬膜下血腫もある

抗血栓薬服用中の注意点

  • ワルファリン:死亡率が上昇するとの報告もあり注意が必要
  • DOAC:血腫増大率の上昇が報告されている
  • 必要に応じて抗凝固薬の中和作用のある薬剤(ビタミンK、新鮮凍結血漿など)の投与を検討
  • 抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾール)は中和剤がないため、内服の中止を検討するが効果が休薬後数日から1週間程度持続する

小児の頭部外傷

小児の頭部外傷小児では受傷直後の変化に注意が必要で、特に以下のような症状が危険徴候となります。

注意すべき症状

  • 反復する嘔吐
  • 持続する頭痛
  • 行動の変化(ぼんやり、反応が鈍いなど、いつもと違う様子)
  • 大泉門の膨隆(乳児の場合)
  • 頭囲の急速な増大

CT検査の基準(PECARN)

  • 2歳以下:意識レベルの低下、頭蓋骨骨折の触知、異常行動の持続など
  • 高エネルギー外傷や非前頭部の頭皮血腫などもCT適応

CT検査の意義とリスク

  • 頭蓋内出血などの早期診断が可能(感度98%程度)
  • 小児1万人あたり、CT後5〜15年で1件の放射線起因性脳腫瘍(主にグリオーマ)が推定されるとの報告あり(Lancet Oncol. 2023 Jan;24(1):45-53)

その他の疾患

  • 慢性硬膜下血腫:特に2歳未満に多い
  • 帽状腱膜下血腫:ぶよぶよとしたまま吸収されない皮下血腫。

まとめ

  • スポーツ外傷では、きっぱりと出場停止の判断を行い、症状がないことを確認しながら段階的に復帰基準のロードマップに従うことが重要です。
  • 高齢者では急性・慢性硬膜下血腫に注意し、抗血栓薬服用中はより慎重な対応が求められます。
  • 小児では受傷後の経過観察とCTの適応判断が不可欠です。

診察頭部外傷後の適切な評価とフォローアップは、年齢に関係なく、その後の経過を大きく左右します。
ご心配な症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

当院ではCT検査は行っておりませんが、外傷患者様の診察のうえ、頭蓋内損傷のリスクが高いと判断される場合にはMRI検査をお勧めしております。
MRIは長いトンネル状の装置内で最低10分程度静止していただく必要があり、乳幼児や小学校低学年のお子様には施行が難しい場合もあります。
一方、慢性硬膜下血腫の評価やフォローアップにはMRIが有用です。
当院では、必要に応じてMRIを用いた頭部外傷の評価と経過観察を行っております。

 

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